第１１５０回　選択肢

　先日、中学生がいじめを苦にして自殺した記事を読みました。このような痛ましい記事はもう珍しいことではなくなりました。少し古いデータですが、２０２１年度の小中高校から報告のあった児童生徒の自殺者数は３６８人であったと、文部科学省が公表しました。私にもお子さんのいじめの問題の相談は時々寄せられています。私は未来を霊視してその状況を観てお答えしています。ただ、基本的には、「何よりもお子さんを孤立化させないように」その点を強く促します。たとえば学校へ行って、教室に入ったとたん、クラス全員が自分に背中を向けて無視したとします。それは本人にとって暴力に匹敵するぐらい辛い仕打ちです。きっと目の前の世界は真っ暗になってしまうでしょう。そのとき誰か一人でも、この生徒を守り、力になってくれる友達がいれば、このお子さんは救われます。もし、学校に自分の味方が一人もいないなら、家族がこのお子さんの気持ちを汲んで、味方になってあげなければいけません。この状態にあって、もし親御さんまでが「学校をさぼってはいけない」とか「そんなことで負けてはいけない」と、学校へ行くことを強制すると、子供は自分の居場所を完全に失ってしまいます。いじめられて苦痛しか感じられない場所へ行きたくないと思うのは、誰でも当たり前です。学校が苦痛と忍耐しか感じられない場所になり、自分の家でも家族から責められたら、お子さんはどこにいればよいのでしょうか。それがお子さんの心を折って自殺へ向かわせます。不浄霊の影響はその人を“孤立化”へ向かわせます。社会の中でも学校でも職場でも、孤立することがその人を苦しめます。ですからいじめも霊障も同じように“孤立化”していくことが大きな問題になります。

　あとは「自分には他にも選択肢があること」を教えてあげると、気持ちが楽になります。誰でも苦しい状況に陥り、他に逃げ場（選択肢）が無いと思えば、心は折れて無気力になります。特に子供は大人よりも視野が狭いのです。ですから家庭と、今通っている学校が自分の知っている“全世界”になります。家も学校も苦痛と忍耐の場所になると、“全世界”が苦しみの場所になってしまいます。だから絶望してしまいます。しかし、今の学校が苦痛の場所であれば、まずはそれを改善するための努力をします。自分の力でどうにもできないときには、大人の力（親や先生）の力を借りて、現状を打開します。それでも状況が改善できないなら、学校を変えればよいのです。親からしても自分の子どもが、自殺を考えるほどに苦しんでいることを知れば、それでも無理に今の学校へ通わせることはしないでしょう。また、全日制の学校へ行かずに、通信制や単位制の学校へ行くとか、大検（大学入学資格検定試験）を受けて、自分で学力をつけていく道もあります。つまり、いじめを受けて、世界中が真っ暗闇に思えても、目線を切り替えることが出来れば、生きていける道も場所も必ず用意されているのです。

　それは大人も同じです。勤め先の会社が苦痛でならない方、自分が暮らしている家が嫌でたまらない方。そのことばかりが頭の中にあると、何をしていなくても苦しくて、前向きな思考などできなくなります。そうやって意識が悪くなれば、思考が悪くなり、思考が悪なれば行動が悪くなりますので、良い未来を作りだすことが出来なくなります。難病で治療法が限られている方や病気やケガで手の施しようがない人以外は、必ず今歩んでいる道の他に選択肢はあります。どれだけ努力をしても現状が改善できないときは、別の選択肢へ目を向けることも自分を楽にしてくれます。

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