第１１２８回　神様とは

　先日、埼玉県内にある大きな個人病院の経営者から、伐採を予定している大きな杉の木について相談を受けました。御神木と言われる木は、榊や松が有名ですが、杉の木もしばしば見かけます。これらの木は魂が宿りやすいのだと思います。樹齢数百年とか千年を超える御神木は日本各地にあります。しかし、“樹齢３年のご神木”というのは、皆さんもご存知ないと思います。木が生えたり、植えられた当初は魂が宿っていないとすれば、いったい何年経てば木に魂が宿るのでしょうか。

　私がうかがった病院の敷地内には、駐車場に面して４本の大きな杉の木が生えていました。お話をうかがったところ、この地にこの病院ができたのは今から４０年ほど前で、そのときからここにこの４本の杉の木は生えていたそうです。ただ、今は枝が広がって病棟に日が当たらなくなっているので、思い切って木を切ることにしたというのです。ただし、長年植えられている木々には魂が宿っているという話を聞いて、切り倒す前に何かの対処をした方が良いと考えて、私に相談してきたのです。

　私が４本に木に触れたところ、この木には確かに魂＝エネルギーを感じます。ただ、自然の中に漠然と生えている木とは違います。そしてそのエネルギーは、“この病院を守ろう“とするポジティブな力です。言い換えると”守り神“のように、この病院を見守りながら４０年間育ってきた木ですから、普通に切り倒して良いわけがありません。しかも経営者がそのことに気づいていながら、何の対応もせずに伐採業者に木を切り倒させたとすれば、きっとそのあとに良くない出来事が続くことになります。私は経営者にこれらの木には力があることを話した上で、木に宿っている魂を抜くための儀式を行いました。経営者も私と一緒に手を合わせていただきました。そして約１時間かけて、４本の木に宿った魂＝エネルギーを一本ずつ抜いていきました。この儀式が終わった杉の木に触ると、抜け殻のように何のエネルギーも感じません。木の中に入っていた魂＝エネルギーは、後ろ髪を引かれながらも天へ上げっていきました。

　同じように元々は魂＝エネルギーのこもっていなかったものに、時間の経過と共にエネルギーが宿ることはしばしばあります。小さい頃にプレゼントされたぬいぐるみをいつも抱きかかえて寝ている子供はたくさんいます。ぬいぐるみに名前を付けて、まるで人間のお友達のように大切に扱っているうちに、そのぬいぐるみには持ち主の思いがこもっていきます。思いのこもったぬいぐるみには、魂が宿っていきます。ですから乱暴に捨ててしまったり、粗雑に扱った人に不思議な出来事が降りかかることがあります。そもそも神社仏閣もそうです。本殿や拝殿を創建して、そこに神様をお祀りしてご本尊を用意します。そこにどれだけ立派な祭神を祀ったとしても、それだけではその神社は機能し始めません。そこに毎日、祝詞を上げる神職がいて、手を合わせて祈る信者がいて、そして何十年、何百年と言う時間が流れて、その神社は本物のパワースポットになっていきます。そして多くの皆さんの願いを叶える力を持っていきます。神様とは、そもそも霊格の高い卓越した存在です。だた、そこにそれを信じる人たちの思いが幾重にも積み重なっていったときに、人智を越えた圧倒的な存在として輝きだしていきます。ですから神職も管理する人もいなくなった“廃神社”には、人の願いを叶える力はありません。神社としては機能していません。それはそこに祀った神を支える人の思いが欠如したことで、神はすでにその場所を離れてしまっているからです。そういう意味で“神とはエネルギーの集合体”だと私は考えています。

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