第１１２２回　光と影（１）

　皆さんは「ゾロアスター教」という宗教をご存じでしょうか。この宗教の起源は定かではありませんが、今から３０００年から４０００年前の紀元前２０００年紀に古代ペルシャ（現在のイラン）で生まれたとされています。この宗教の特徴を一言で言えば、“一神教であり、二元論の考え方を持つ”と言うことが出来ます。この時代は多神教の宗教が乱立していましたから、一神教の宗教はとても珍しいものでした。そしてこの時代はまだ、キリスト教もイスラム教もユダヤ教も生まれていません。ですからこれら一神教の宗教が形作られる過程で、ゾロアスター教は大きな影響を与えたと言われています。そして現在でも世界中に約１０万人の信者がいるこの宗教は、現在まで続く宗教の中で最古のものになっています。

　「ゾロアスター教」は、伝説のロックバンド「クイーン」のフレディ・マーキュリーが信者として有名です。この宗教は、開祖の預言者「ゾロアスター」が、天国へ行って最高神「アフラ・マズダー」という善の神と話をしたときに、「アフラ・マズダー」の創造のすべてに邪魔をしてくる絶対悪の神「アンラ・マンユ」の存在を知ります。そして、世界のすべての事象を「善」と「悪」の２つに分類して解釈をしていきます。さらに人間は「善」と「悪」の抗争の中に存在していると考えます。死後の世界には「天国」と「地獄」があります。そして天国に使える“天使”がいて、地獄に仕える“悪魔”がいるのです。

なぜいきなりこんな話をしたのか。二元論で物事を解釈するのは、とても分かりやすくて明快です。そして現実の世界にも、「昼」あって「夜」があり、「生」の隣には「死」があります。同じように「光」があれば「闇」があり、「喜び」があれば、その隣に「悲しみ」もあります。「好事魔多し（こうじまおおし：物事が上手く進んでいるときこそ、意外なところに落とし穴がある）」とか「禍福は糾える縄の如し（かふくはあざなえるなわのごとし：幸不幸はより合わせた縄のように表裏をなしていて予測ができない）」という言葉もあるように、良いものと悪いものは表裏一体で、どちらもすぐ近くにあるのです。先日そのことを実感する出来事がありました。

私はこの前、以前から大好きだった神社へ出かけました。そこは土地の波動は素晴らしくて、その場所に立つと全身に力が沸き上がってきます。気持ちの良くなった私は、いつもより足を延ばして、その神社の中にある“摂社・末社”（＝その神社の主祭神に関連する神様をお祀りしている神社内にある小さな社）をすべて見て回っていました。そのときある摂末社をよく見ると、社を囲っているコンクリートの壁が、雷でも落ちたように斜めにギザギザのヒビが入っていたのです。気になって裏側に回ると、社自体もかなり朽ちていて土台も崩れかけていました。そしてこの社からは嫌な空気がとめどなく発散されていたのです。嫌な空気とは具体的に言うと「嫌悪感」や「恐怖」を抱かせるもので、それはかなり強いで働きかけていたのです。

～土地の波動は素晴らしいのにどうしてこの摂末社は最悪なのか～

その理由は明確です。この社は呪詛などの良くないことに遣われてきたので、その悪念・邪念が取りまいていて、その負の力で自らの社まで破壊していたのです。数々のパワースポットの中でも「奥に素晴らしい」と感じた気持ちの良い神社の一角に、恐怖や不快感をもたらす最悪の社が建てられていたのです。つまり、光と影は別個に離れて映し出されるのではなく、寄り添うように隣接して存在しているのです。（２）へ続く。

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