実はこの事件が発覚した昭和５２年１２月７日をさかのぼる約１年前（＝被害者の遺体が遺棄されたころ）から、この付近では黒いトックリのセーターを着た女性の目撃談がいくつも寄せられていたのです。深夜にたまたま近くを通りかかったタクシーの運転手は、貯水槽の近くでうずくまっている女性を発見しました。気になった運転手は車を止めて、近くに歩み寄り、その女性に話しかけます。
「大丈夫ですか？」
その声に女性は反応して無言のままゆっくりと顔を上げます。すると女性の顔は目も鼻も口もドロドロになって溶けていました。
「ギャーッ」
運転手の悲鳴が誰もいない深夜の山村にこだまします。運転手はあわてて車に駆け込み、発進させます。そして振り返りましたが、そこに女性の姿はありませんでした。このころからこの近辺では夜に女性を見たという人が何人も現れたのです。そして目撃者は口をそろえて、夏でも黒いトックリのセーターを着ていたことと、顔が溶けていたことを証言していたのです。
そして事件から２７年が経過した２００５年８月１０日。「日本テレビ」で心霊現象を取り上げた「新・あなたのしらない世界」の中で、この事件が放映されました。そのとき取材班は、まずは遺体が発見された貯水槽の場所へ行きました。しかし、貯水槽はすでに解体されていて、その痕もきれいに埋められていました。そこでその場所に「お花」と「お線香」を手向けて、被害者の冥福を祈りました。次にご遺族に話を訊きに行くため、遺族の家の住所をカーナビに入力して家へ向かいました。途中で大きな二股のＹ字路に突き当たりました。遺族の家へはどう考えてもここを左に進まなければなりません。しかし、カーナビの音声は
「この先、ななめ右方向です」
と言うのです。おかしいと思い、少し戻ってもう一度、確認しても、同じ言葉を繰り返します。そこでこの先で道が迂回している可能性もありますから、素直にカーナビの案内に従って、遺族の家を目指しました。やがてカーナビは
「目的地に着きました。音声案内を終了します」
と、到着を知らせました。しかし、目的地として案内された場所は、“古い墓地”だったのです。しかも、この墓地は被害者の女性が埋葬されているお墓だったのです。この出来事に呆然とした取材班は、違う場所へ行ってそこから遺族の住所を入力して遺族の家を目指しました。しかし、どこから住所を入力しても、ナビはこの墓地に案内したのです。ついにはタクシーを呼んで、タクシーのナビに住所を入力したものの、やはり遺族の家へは行けずに、この墓地に連れてこられたのです。これは無念の思いを抱き、生に執着している被害者の霊が、まだ現世にとどまっていることを示しています。自分の無念さや悔しさを分かってもらいたくて、たくさんの人の前で霊現象を起こしているのです。好きな人の子供を妊娠したまだ２１歳の若い女性が、その男に無残にも殺されて、遺体を遺棄された悔しさや悲しみは察して余りあります。この深い無念はそう簡単に消えるものではありません。被害者のご冥福をお祈りいたします。（３）へ続く。
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■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者：霊能者ＳＨＵＮ（シュン）
■四六判２４８頁
■定価1６５0円（本体1５００円＋税10％）
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章：地球の誕生と人類の出現
第一章：霊界の存在とその仕組み
第二章：人の縁の不思議
第三章：心霊スポットが危険な理由
第四章：霊障は理不尽なもの
第五章：先祖と私たち
第六章：この世の上手な過ごし方
