この方はそれからずっと、このときの光景が頭から離れません。あの黒い人影の正体は何だったのか。そして自分のせいであの女の子は死んでしまったのではないのか。さまざまな後悔と疑念に答えを出すことが出来ないため、私に質問してきたのです。私はこの方の話を聞いて、その時の川や川原の様子を霊視してみました。そしてこの方に答えました。

「まず、黒い人影ですが、少し古い時代から現代にいたる不浄霊で、子供も大人も全員、この川で亡くなっている人たちです。しかも皆さん、現在までご遺体は見つかっていません。そのためきちんとした葬儀を行うことができずに死者をあの世へ送り出せていません。そして死者の魂も、まだまだやりたいことがたくさんある中で、突然命を失いました。その無念の思いが強く、遺体も下流の川底に沈んですでにバラバラに溶けて霧散しているため、成仏できていません。成仏できない不浄霊はこの川にとどまって、自分たちに波長の近い人間がやってくるのを待っています。暗くて寒い死後の世界にいるのが寂しくて、仲間を求めているのです。ただ、霊的な波長が合わなければ、つながることが出来ませんから、この川にやってくる人を探していたのです。

「それがあの時の女の子だったのですね?」

この方は、私の答えを聞くと、すぐに尋ねてきました。私もきっぱりと次のように答えました。

「いいえ、違います」

相談者は私の返事に驚いて、私に視線を合わせました。私のその視線を保ったまま、静かに答えました。

「女の子が足を滑らせて川に落ちたことに、これらの不浄霊は関与しています。しかし、不浄霊の本当の狙いは、この女の子ではありません。それはあなたですよ」

「………」

この方は私の思わぬ答えにしばらく黙りこくりました。

「もし、女の子が流されたタイミングがあと少し早かったらどうでしょうか?あなたが女の子を見ているときに、足を滑らせて川に落ちたとしたらあなたはどうしましたか?」

「はい、きっと走り寄って女の子を助けに行ったと思います」

私は相談者の目を見ながら話を続けました。

「そうですよね。そしてお酒で酩酊しているあなたが、足元の滑りやすい川に入っていたら、間違いなくあなたも足を滑らせて川に流されていました。そして川の中では、これらの不浄霊に足元を掴まれて川底へ引きずり込まれます。そしてあなたもこの川で命を落とすことになっていたはずです。黒い人影の不浄霊のほとんどは、あなたと霊的な波長が合っていました。ですからあなたには女の子よりも強く影響が出ていたはずなのです。足を滑らせた女の子は、あなたをこの川へ誘い込む“呼び水”だったのです。女の子を見るタイミングがずれたことであなたが救われたのは、その左手にしているブレスレットが守ってくれたと思いますよ」

 私はそう言って相談者が左手首にしている天眼石のブレスレットに目をやりました。よく見ると、丸い球体のはずのブレスレットの丸玉の表面が、いつくも欠けてヒビが入っていたのです。

 

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霊界が教えてくれるこの世で幸福になる方法

 

■書名

霊界が教えてくれる

この世で幸福になる方法

■著者:霊能者SHUN(シュン)

■四六判248頁

■定価1650円(本体1500円+税10%)

■ISBN978-4-341-08818-7

■発売 株式会社ごま書房新社

 

 目次

序章:地球の誕生と人類の出現

第一章:霊界の存在とその仕組み

第二章:人の縁の不思議

第三章:心霊スポットが危険な理由

第四章:霊障は理不尽なもの

第五章:先祖と私たち

第六章:この世の上手な過ごし方

 

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