第１０６１回　霊体（２）

　霊体が私に近づいてくるとき、霊から見て私が霊を観えている人間だと分かってやってくるときと、それに気づかずに来る時があります。私が霊が見えると分かっていて近づいてくる霊は、私に何か要求や願いがあるために近づいてきます。たとえば自分の愛する人に、自分の思いを伝えてほしいとか、あの世へ上がる上で障害になっている問題をクリアしてほしいとか、あの世へ上がる道筋を示してほしいなどです。私からすれば、時間と体に余裕があるならば、霊の願いを聞き入れることもします。ただ、もう２０年以上は、通りすがりに近づいてきた不浄霊とは関わらないようにしています。その願いに応えるための時間や労力を遣うゆとりが私にはないからです。今回の浄霊も予定を４日間も延長して終わりました。無事に終了できて、悪い因縁を断つことが出来たことで、依頼した方はきっと救われます。それはとてもよかったのですが、やはり私の消耗はとても激しいものがありました。浄霊中は気が張っていますので、気力・体力ともに何とか保っています。しかし、その反動は浄霊終了後に、かなり強く現れるのです。しばらくは疲れきって横になっているだけで、何もすることはできません。霊の問題に対処するには、それだけのダメージを覚悟の上で行っています。本音を言えば、それは進んでやりたいことではありません。しかも見ず知らずの不浄霊であれば、それはなおさらです。ですからどれだけしつこく付きまとわれても、無視を続けるか追い祓うことになります。私には霊の姿が見えていますし、不浄霊は私にすがっています。そのため霊に付きまとわれている期間は何度も霊と目が合います。それでも知らん顔をして無視をします。顔を私の顔の正面に近づけてきたり、私の真後ろをストーカーのようにずっと後をつけてきても、気づかない振りを続けます。普通はそれを３～４日続ければ、あきらめて他の人を探しに行ってくれます。しかし中にはしつこい不浄霊もいて、１週間以上も付きまとってくることもあります。その際は、たいてい私がキレて、思いっきり力を込めて祓います。そうすることでもう、付きまとわれることは無くなります。

　私が霊を見れることを気づかずに近づいてくる不浄霊は、私の霊的な間口が広いことによって、私も不浄霊も意識しないままに、自然に引き寄せられてきています。霊的な間口が広いということは、台風の雲の直径が大きいとか、渦潮の渦の直径が大きいことと同じで、その渦の中心に向かって、自分でも無意識のうちに霊的なものを引き寄せてしまします。不浄霊を呼び込みたい人は誰もいません。このときは自分で霊は見えていませんが、さまざまな状況から霊に付きまとわれていることはすぐに分かります。

　たとえば友人たちと飲食店を何軒がハシゴしているときに、出てくる「おしぼり」の数が、１本多いことが続きます。或いは私がお店に入った後に、一旦閉まった自動ドアが、もう一度開くことが続きます。また、私がセンサーライトの付いた家を通り過ぎた後に、再びセンサーライトが灯るのです。そんなとき私はすぐに後ろを振り返ります。そこで付きまとってきた霊に気づくこともあれば、姿が確認できないこともあります。そのときに相手正体を見極めようとして、周囲の様子を凝視すると、私が霊が見える人間であることが悟られてしまいます。ですから不審に思って振り返っても、しつこく霊を探すようなことはしません。それは不浄霊とは関わらないでやり過ごすことが一番楽な対応になるからです。

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