第１０５７回　霊界のシンクロニシティ（２）

子どものころは、見えるはずのないものを見るたびに、必ず報告し合っていた二人でした。やがて成長して社会人になって二人は別々に暮らすようになりました。それでも何か特別な体験をするとラインや電話で報告をして、一緒に“答え合わせ”をしていました。誰に話しても、自分たちがおかしく思われるだけで理解されることはありません。だから気になることがあれば、分かり合える二人で連絡を取っていたのです。そして、子供のころから何十回、何百回と不思議なものを見てくると、その見え方にいくつか特徴があることが分かりました。

～同じ時刻に一緒に霊体験をしていても、見える内容は姉妹それぞれで異なっていることがほとんどなのです～

あるときは妹が夜、寝ている間に金縛りに遭いました。そして、「何か来る、何か来る」と思っていると、顔が半分つぶれた男の霊が天井から逆さまにゆっくりと降りてきました。そしてベッドに寝ている妹の足を両手で思いっきり掴むと窓の方へズズっと引っ張って行ったのです。妹は必死で抵抗しましたが、体は動きません。危うくベッドから落ちかけたところで、右足の小指が動いて金縛りは解けました。金縛りは体のどこか一部でも動けばその瞬間に解けます。手足を動かすことが出来ないときは、顔の表情を変えたり、口角を上げるだけでも良いのです。妹はこの怖かった体験を翌日の夜に姉に電話で伝えました。するとお姉さんも同じ時刻に自分の部屋のベッドで霊体験をしていたのです。ただ、その内容は妹とは異なりました。

お姉さんが寝ていると、住んでいるマンションの外廊下を歩く足音が聞こえてきました。これは革靴でコンクリートの上を歩くような、“コツッ、コツッ”という固い音でした。その音は一足ごとにお姉さんの部屋に近づいてきます。お姉さんは布団をかぶってその中に入りました。そして心の中で「来ないで、来ないで」と念じながら震えていました。すると足音は玄関ドアの前でピタリと止まりました。そして、ドアノブを回す、“ガチャガチャ”という音が室内に響きます。もちろん玄関のカギはかかっています。しかし、しばらくすると玄関ドアを通り過ぎて室内の廊下を歩く音が、“ミシッ、ミシッ”とゆっくりと寝室に近づいています。そして寝室のドアが、思いっきり“ドカン”と開いて、何かが体の上に載ってきたのです。そしてかぶっている布団を剥がそうとしましたが、お姉さんは必死で布団を握りしめました。そんなやり取りがしばらく続いた後、気が付くと布団は軽くなっていました。恐る恐る布団から顔を出すと、部屋の中には誰もいませんでした。

　またある時は、妹がJRの駅の階段を下りているときに、背中を強く押されて階段で転倒しました。時間は日中で混雑する時間帯ではありません。周囲に人はいませんでした。そのため自分で足を滑らせて転んだことになりました。しかし、確実に誰かが後ろから背中を押したために転倒したのです。怪我は大事には至りませんでしたが、病院で治療を受けました。その日の夜、お姉さんと電話で話すと、お姉さんはその時刻に通っていたジムのプールで、溺れそうになってスタッフに救助されていました。お姉さんは自分の前を平泳ぎで泳いでいる人の後ろから、自分も平泳ぎで付いていきました。すると突然、何かに足を掴まれて、プールの底へ引っ張られたのです。慌てて立ち上がろうとしましたが、強い力で水中に引きずられて立てません。そして溺れかけているところをスタッフに助けられたのです。もちろん周囲に他の人はいませんでした。

　このように霊現象が同じ時刻に別々の場所で別々の人に降りかかることがあります。その場合、同じような状況ではなく、異なる形で霊障を受けることが多くあるのです。

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