第１０４８回　呪詛

　以前このブログで、不幸が続く家へうかがいその原因を探ったところ、家の門から玄関へ続く敷石が、“墓石”だったことをお話ししました。人間で言えば顔に当たる家の玄関先に、墓石が並べられているわけですから、それでよい出来事が起こるわけがありません。このときは後で調べたところ、故意ではなくてさまざまな手違いが生じて、このようなことになったようでした。しかし、誰かを恨んで呪詛を行う時に、僧侶とか霊能者を集めてそのための儀式を行わなくても、結果として相手を貶めるやり方はあります。それは誰も気づかぬうちに玄関先に墓石が並べられて、家に住む人の運気が著しく下がったことと同じです。私は皆さんに簡単な呪詛の方法を勧めているわけではありません。むしろ似たようなケースが過去に何度かありましたから、十分に注意していただきたいと思いました。

　たとえば今の事例と同じように、引っ越しをしてから、家族の中で病人が出たり、リストラされたり、受験に失敗したり、悪いことばかりが続いている家がありました。私がその家を訪ねると、家の敷地に入った瞬間に、吐き気がするような嫌な臭いが充満していました。これは霊的なもので、実際に臭っているわけではありません。それは死霊とか地縛霊とは性質が違います。生霊が飛んで来ている感じもしません。しかし、自分で気づかなくても、このような嫌な臭いの中で生活していれば、その不快感や苛立ちはかなり募ってくるはずです。そして自分でも気づかぬうちにそのイライラを周囲の人へもぶつけてしまいます。人間関係は悪くなり、集中力は無くなりますから、勉強でも仕事でも良い結果を出すことはできなくなります。そして食欲も無くなりますから、体調も悪くなります。この状態は、誰かから呪詛を受けているのと同じです。

　しかし、何が原因だったのか。私はこの家の敷地に何かあると感じましたので、この家のご主人と二人で庭に穴を掘って原因を探しました。その結果、この家の庭からは、十数体の動物の骨が出てきたのです。それもペットや家畜として飼われて、普通に病気などで死んでいるわけではありません。いくつかの骨は、いびつな形に並んでいました。これは関節が捻じ曲げられたり、体の一部が欠損していることを現わしています。つまり、虐殺されて殺された犬猫などが、十数匹も引っ越し先の庭の中に埋められていたのです。このような家に住んでいて、家人が幸せになるわけがありません。私はすぐに死んだ動物たちの供養を行い、無念な思いで死んだ動物たちの魂をあの世へ上げました。その瞬間、この家に漂っていた悪臭は消えていきました。

　他にも家の敷地の中に強い悪意のこもっている真っ黒な小石がいくつも撒かれていたことがありました。これは意図的にこの家に住んでいる人間を貶めるために撒いたものです。同じように家の敷地内に木材を削って、人形の形にした木片が埋められていたことがありました。しかもその人形は首の部分が取られていました。さらに両目と心臓に当たる部分に、釘が差されて血のような赤い文字で“呪”と書かれていました。そしてその人形には呪詛の相手の人の髪の毛が巻き付けられていたのです。ここまでくると、これは完全な“呪詛”になります。しかし、ここまで明確に呪詛の形を取らなくても、今述べたように動物の死骸とか、悪念を込めた小石を相手の家の敷地に撒いて、貶めようとすることがあります。普通に生活していても、アクシデントやトラブルは生じるものですが、それが不自然なほど強く、頻繁に続くようでしたら、庭や家の中を点検した方が良いと思います。家族が誰も知らないのに、見たことも無いものが不自然に置かれていることがあるからです。

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