「虫の知らせ」とは、五感以外の第六感が働いて、良いことや悪いことを予知することです。ただ、「虫の知らせ」というとき、それは曖昧に感じ取ったものではなく、ハッキリとした形で現れることが良くあります。子供のころに不思議な体験をした相談者が私に質問をしてきました。その人は子供のころに、朝起きてお祖父ちゃんの部屋の前を通ったときに、お祖父ちゃんが座布団の上に座って新聞を読んでいる姿を見て驚きました。それはお祖父ちゃんは今、入院中で前の日に両親とお兄さんと4人で病院へお見舞いに行ったばかりだったからです。しかも、昨日の医師の話ではお祖父ちゃんの容体は悪く、「もう長くは持たない」という話をお父さんにしていたのです。そのため昨日、お父さんはお祖父ちゃんに付き添って病院に泊まり込み、お母さんと兄と3人で帰宅していたのです。それだけに家で新聞を読んでいるお祖父ちゃんを見て、“何で家に帰ってきたのか”と思い、びっくりして兄にこの話しました。お兄さんはこの方の話をもちろんまともに受け取ってくれませんでした。「寝ぼけているのか」と、バカにされただけでした。仕方なくお母さんに話そうとしたところ、ちょうど病院にいるお父さんから連絡が入りました。お祖父ちゃんは容体が急変して、たった今、病院で息を引き取ったというのです。この方は驚いて、改めてお爺ちゃんお部屋を見直しましたが、もちろんお祖父ちゃんはそこにいませんでした。ただ、お祖父ちゃんの匂いがしたことを今でも覚えているのです。
別の人は、高校生の時に部活動の朝練で朝6時半に学校に着きました。眠い目をこすりながら校門の前まで来たときに、仲の良い友人が、自分より一足早く、校門に入っていく後ろ姿が見えました。その友人とは同じクラスで部活動も一緒でした。この人は前を歩いている友人に向かって後ろから声をかけました。
「おーい、おはよう、今日も頑張ろうな!」
大きな声で声をかけたのに、友人は後ろを振り返ることもなく、部室の方へ曲がっていきました。すぐに追いかけて部室に入りましたが、そこには下級生がいて、朝練の準備をしていました。友人は部室にいた下級生に話しました。
「おーい、今〇〇入ってこなかったか?」
「いいえ、〇〇先輩は見てないっす」
後輩は当たり前のようにそう答えました。
~おかしいなあ、誰かと見間違えたかな~
相談者はそう思いながら朝練のために着替えて体育館に入りました。すると監督が整列した部員全員を前にして、目を潤ませながら話しました。
「実は、昨日の夜、〇〇が、車に跳ねられて死んだ。即死だったそうだ…」
相談者は監督の言葉を聞いて、涙をぬぐいながら思いました。
~あいつ、真面目だし、練習熱心だったから、今日も朝練に参加したくて出てきたんだろうか~
このように「虫の知らせ」は本人にハッキリと分かる形で届くことがあります。一方で、今の例とは違った形で「虫の知らせ」が届くこともあります。しかも、中には「虫の知らせ」が大きな恐怖をもたらすこともあります。(2)へ続く。