電信や電話で通信や会話をしているときに、別の通信や通話が混じり込むことを「混線」と言います。私が若いころは、電話中に他人の通話が混じって聞こえてくることが時々ありました。しかし、今では通信の状態は格段に進歩して安定しています。ですから「電話が混線する」などという話は、ほとんど聞いたことがありません。しかし、霊の世界になると、混線は今でもしばしば起こることです。特に霊的な間口の広い方とつながっている(会話している)ときに、混線はときどき発生します。以前、霊能者の人から相談を受けて電話で会話中に、何回も電話が切れてしまい、閉口したことがあります。この時は30分の会話中に5回くらい電話が切れて、最後はお互いに呆れて笑ってしまいました。先日も遠隔除霊で電話でマントラを唱えているときに、ハウリングを起こしたように私の声が受話器から聞こえてきました。それも会話が音声を増幅して聞こえてくるだけなく、「ウワー」とか、「ギャー」という悲鳴が度々混じり込んでくるのです。私は除霊に集中しなければなりませんから、極力この声を気にしないようにして、マントラを唱え続けました。すると今度は、「何やってんの」とか「明日どこへ行くつもり?」という普通の会話が聞こえてくるのです。これらは明らかに、今祓っている霊が、除霊がスムーズに進まないようにやっている妨害行為です。他にも、ガラスを爪で引っ掻いたような不快な音や金属音で私が唱えているマントラを聞こえないようにしてくることもあります。対面で除霊をしていても霊から受ける妨害はさまざまにあります。しかし、電話で除霊をしているときの方が、こういった妨害ははるかに多いのです。それは霊の波長は電気の波長に近いので、電話を介在している方が、影響を出しやすいからです。
霊の世界ではこのようなことはしばしば発生します。以前、行方不明者の捜索をしているときに、その人の霊的波長を追いかけて、奥多摩まで出かけました。この人は自殺願望があって家出をしましたので、誰もいないような山奥で、静かに死んでいこうとしていたのです。私は、青梅から国道411号線に入り、奥多摩湖を過ぎて、甲州市方面へ向かっていました。途中の小菅村役場から丹波山村役場にかけて行方不明者の波長を強く感じたので、車を止めて付近の山に徒歩で入りました。そこから山中を歩きながら、ひたすら行方不明者の波長を追っていったのです。しかし、2時間近くも山中をさまようと、突然、道が開けて、小さな滝のある川沿いの道に出たのです。その瞬間、いきなりかなり強いマイナスの念(怨念)を感じて、身構えました。するとすぐに古い霊体が何十体も私を取り囲んで、襲ってきたのです。私はすぐに印を結んで霊に対抗するマントラを唱えようとしたのです。しかし、挨拶のようにいつも口を突いて出ているマントラが、頭の中で途絶えてしまって、一向に言葉にすることが出来ませんでした。私は正直、焦りました。霊感体質の私が、こんな状況で自分を守る武器を失ってしまえば、どんな目に遭うのかは容易に想像できます。下手をすれば川に転落して命を取られるかもしれません。こんな時はともかく早くこの場を離れるしかありません。登山道のような道に出ていましたから、私をそこを全力で走りました。そのとき「塩山市」と書かれた白い鉄製の看板に、黒い文字で何かの説明が書かれていました。走りながらその横を通過したので、小さな文字で書かれた文章を読むことはできません。しかし、太い文字で書かれた文章のタイトルは目に入りました。そこには「おいらん渕」「黒川金山」と書かれていたのです。私は、全身から血の気が引きました。それは「おいらん渕」と「黒川金山」については、知識としてそれがどういう場所なのか、その意味は知っていたからです。ただ、実際にその場に足を踏み入れたのはこの時が初めてでした。もし、「おいらん渕」に来ることを想定していたなら、私ももっとパワーストーンや神符(携帯できるお札)で自分の守りを固めていました。私は行方不明者の波長を追うためにこの山奥まで来たので、ほとんど自分を守るアイテムを身に着けていなかったのです。私は山道を走りながら考えました。私はずっと行方不明者の波長を追いかけていたのですが、近くにあった「おいらん渕」の強い怨念が混線して、自分でも気づかないうちに、「おいらん渕」に引き寄せられていたのです。(2)へ続く。