「今回の問題はこれで解決が付きました。しかし、私が1点気になるのは、お子さんの“霊的な感性”についてです。今回の霊ハクは程度としてはそれほど強いものではありません。それを息子さんはしっかりと感じ取っていたのです。この状況からすると、少なくとも現時点ではお子さんの霊的な間口はかなり広くなっています」

奥さんは少し怪訝そうに私に尋ねました。

「霊的な間口が広いことで、息子には具体的に、どのような問題が生じるのでしょうか」

私は奥さんが動揺しないように努めて冷静に話しました。

「霊的な間口が広いということは、分かりやすく言うと“霊感が鋭い”ということになります。息子さんはすでにご両親が目にすることのできないさまざまなものを見たり、感じたりしています。現世にとどまっている霊体に良いものはありません。良い状態の霊はすみやかにあの世へ上がって輪廻転生の準備に入ります。それができずにずっと現世にとどまっている霊体には、怒りや恨みなど強いネガティブな思いを抱えています。そういうものと息子さんはつながりやすい体質なのです。ですからこれからどこかへ出かけるときには、震災や戦災の現場や古戦場跡のように、人がたくさん亡くなっている場所はできるだけ避けてください。人が数多く亡くなっている場所には、それだけたくさんの不浄霊が留まっていることが多いのです。それらのどれかと息子さんの霊的な波長が合ってしまうと、憑依されて霊障を受ける可能性があります」

奥さんは神妙に私の話を聞いています。

「あとは私の経験から言うと、子供は素直ですから、これからおしゃべりができるようになると、自分が目にしたものや感じたもののことを自然に口に出すようになります。そうなったときに大人の目から見てあり得ないような話や口に出すことがはばかられるような内容であっても、頭からそれを全否定することはやめてください。私の親は霊的な世界をまったく認めようとせず、むしろ忌み嫌っていました。ですから私が子供のころに見たものや感じたものの話をすると、“嘘つき”と言われ、すべてを否定されて育ちました。精神科に連れていかれて、医師から行動観察されたことも何度もあります。子供にとって自分の味方であるはずの親から、自分の人格を否定されることは、とても辛いことです。そして子供の成長に良い影響は与えません。さらに親子の関係にも大きな溝を作ります。ですから息子さんの話は、一度ちゃんと聞いてあげて、それを認めてあげてください。その上で、口に出さない方が良い内容なら、きちんと理由を説明してそれを教えてあげてください」

奥さんは私の話に納得したようにうなずいています。

「息子の将来は間口が広いことで大きなハンデを背負いこむことになるのでしょうか?」

奥さんは不安そうにまた尋ねてきました。

「今の段階では何とも言えません。一般的に乳児や幼児の霊的な間口は大人よりも広いのが普通です。子供は知識や人生経験がなく、自分を守るものが何もありません。ですから霊的な感性によって危険を察知できるように、霊的な間口は広くなっています。ただ、これから成長していくにしたがって、人生経験を積んで知識を吸収していきます。それと引き換えにほとんどの人は、思春期ぐらいをピークにして、霊的な感性は鈍くなります。そして成人するころには、子供のころに見えていたものは何も見えなくなります。ですから息子さんが大人になったときには、他の人たちと同じように、霊的には何も感じなくなる可能性もあります。中には私のように、大人になってからも霊的な間口が広がり続ける人もいますが、それは特殊なケースなのです」

奥さんは私の言葉を聞いて少し安心したようでした。私は息子さんの霊的な波長に合うパワーストーンに、霊や念に対抗できるマントラとパワーを念じ込めて奥さんに渡しました。

「息子さんはまだまだ10年以上は間口の広い状態が続きます。その時に不浄霊と同調して霊障を受ける可能性があります。この石は息子さんの霊的な間口をブロックして霊と同調しないようにします。夜寝る時も枕の下に入れて、日中もお守りとしてできる限り、携帯するようにしてください」

奥さんはしっかりとうなずいて、パワーストーンを握りしめました。