前回のテーマ「迷い道」では、私が絶体絶命のピンチから奇跡的に何度も生還できた話をお伝えしました。私は死と隣り合わせの状況から無事に戻ってくることができた時、何か現実の世界とは違うトンネルを抜けてきたような感覚がありました。「パラレルワールド」とは、ある世界(時空)から分岐して、その世界と並行して存在する別の世界(時空)のことです。パラレルワールドは、いわゆる「魔界」とか「四次元の世界」とは異なり、我々が存在する同一次元の宇宙の中に並行して存在していると考えられています。もし、パラレルワールドが存在するなら、時間や空間や位置の流れが上手く合致したときに、私たちが今、目にしている世界から、並行世界の方へ瞬間移動することもあるはずです。実際、そのような出来事が世界各地で報告されています。
1954年7月2日、ニューヨーク発マイアミ行きの「パン・アメリカン航空914便」は、穏やかな晴天の中、57人の乗客を乗せて離陸しました。途中、機内からトラブルを知らせる連絡や救難信号が発せられることもなく、機体は正常に飛行を続けていました。地上の管制官は914便の機影を正常に捉えていて、離陸から3時間が経過した914便は、まもなくマイアミ空港のエリアに入ろうとしていました。しかし、機体がフロリダ半島の先端に近づいたとき、914便は突然、レーダーから姿を消したのです。そして燃料が切れる時間を過ぎても914便は、地上に着陸することなく消失してしまったのです。すぐに飛行ルートに沿って捜索が開始されました。しかし、機体はおろか、その残骸や燃料、乗客乗員なども全く発見されませんでした。まさに914便は忽然と姿を消してしまったのです。やがて当局は「914便は墜落して生存者はいない」と発表しました。しかし、墜落の証拠は何一つ見つからなかったのです。
それから37年が経過した1992年9月9日、ベネズエラの首都、カラカスの「シモン・ボリバル国際空港」で管制官は、突然、レーダーに現れた機影を見つけました。その機体は機器の故障で現れたのではなく、明らかにこちらに向かって飛行していたのです。飛行機は空港に近づいたため、管制官は目視して機体を確認しました。すると今では珍しくなった旧式のプロペラ旅客機だったのです。
「我々は今、どこを飛行しているのか?」
管制塔にパイロットからの無線が入りました。管制官は、
「現在、カラカスのシモン・ボリバル国際空港に接近中」
と答えて、パイロットに目的地を尋ねました。するとパイロットは、
「当機はパン・アメリカン航空914便、マイアミ行きだ。当機は1955年、7月2日午前9時55分に着陸予定だ」
と答えたのです。管制官は一瞬、
~カラカスとマイアミは1360マイル(2190キロ)も離れている。いったいどうやって飛んできたのか~
そう首をひねりました。そして管制室の中でもこの奇妙なやり取りを聞いて騒然としてきました。しかし管制官は、“まずは乗員・乗客の安全が一番”と考えて、機体を空港へ誘導して着陸させたのです。着陸した飛行機のパイロットへ向けて管制官は話しかけます。
「今日は1992年、9月9日であることをあなたは理解していますか?」
この言葉を聞いたパイロットは激しく動揺しました。そして地上スタッフを飛行機に近づけないように要請しました。やがて914便は離陸許可を受けないまま、滑走路の端まで移動すると滑走路を全速で走行して再び空へ飛び立っていったのです。管制官はレーダーで機影を追跡しました。しかし、やがてレーダーの中からも914便の機影は消えてしまったのです。これは当時のニュースでも取り上げられた事件です。914便はいったいどこを飛行してどこへ消え去ったのか。フロリダ半島の先からプエルトリコのバミューダ諸島を結ぶ三角形の海域は“バミューダ・魔のトライアングル”として知られています。それは古くからこの海域で、船や飛行機が乗員を乗せたまま、跡形もなく消失する事件が多発してきたからです。私はこの海域には、パラレルワールドとつながる入り口が存在していると思っています。皆さんも時間・空間・そして土地の波動が何かのタイミングでぴたりと一致したときに、現実の世界からパラレルワールドへ入り込んでしまう可能性があるのです。