皆さんは何度も通った通いなれた道で迷ったことはないでしょうか。私のように目に見えない世界を常に感じながら生活していると、不思議な出来事に遭遇することがしばしばあります。今までにカーナビやポータブルナビが誤作動して目的地に着けなかったことは、このブログの中でも何度も紹介しました。自動車に標準装備されたカーナビと持ち込んだポータブルナビがどちらも登録した住所と異なる場所を指しているのです。仕方なくガソリンスタンドで店員に道を尋ねたところ、その答えも間違っていました。そこでうかがう先に電話をかけて、電話で道案内をしてもらって辿り着いたことが何度もあります。また、出かける前に家でうかがう先を何度も地図で確認して、その画像をスマホにコピーして、目的地の家の前の道を何度も往復しているのに、家が見つからないことがありました。そしてたまたま見かけた交番で警察官に住所を尋ねたところ、目的地と真逆な方向を案内されたこともあります。これらはうかがう先の家やお店が強い霊障を受けているようなケースです。霊は肉体が無い分、瞬間移動できますし、影響を与えている人間の様子をしばしば確認しています。ですから私のように霊を祓うことを生業にしている人間をひどく警戒して嫌うのです。私が目的地に到着すれば、自分が祓われることが分かっていますので、精密機械類や人に影響して私を目的地に近づけないように邪魔をしてくるのです。ですからこういった妨害にめげずに何とか目的地にたどり着くと、たいていは霊的に非常に問題のある状況になっています。そして結果として除霊や浄霊を行って霊の影響を取り除く施術をすることになります。
以前にも雪の降る日に東北地方の雪国で行く先が分からなくなったことがありました。その家は、最寄り駅を下りてから徒歩10分ほどで到着します。駅東口のロータリーを出て、大きなスーパーマーケットのある角の信号を左に曲がります。そのまま進んで左側の派出所の角を左に曲がります。そのまままっすぐ道なりに進むと灰色の瓦屋根の大きな二階建ての家があります。そこが目的地です。つまり、駅の東口を出た後は、まっすぐ歩いて2回左折するだけで、徒歩10分で到着するはずなのです。この家は旧家でご主人の先祖にも奥さんの先祖にも深い因縁を抱えていましたので、私は十数年前からたびたび訪れていました。この日は雪が降っていましたが、決してホワイトアウトするような状況ではありませんでしたから、目を開いて歩いていれば迷うはずはないのです。私は雪の中、足元を確認しながら慎重に歩いていました。しばらくしてスーパーマーケットが見えたので、角の信号を左に曲がりました。すると予定通り派出所の前を通りましたので横の角を左へ曲がりました。しかし、いつまで歩いても目的地の家に辿り着けないのです。派出所を曲がってから、時間は30分近くも経過しました。すると私は誰もいない寂れた公園の中に入りました。さすがに見たこともない公園でしたので、そこから訪問先のご主人に電話をして尋ねました。私は今、自分がいる公園の様子をご主人に伝えました。するとご主人は私に、
「電話を切らないでください。家の前まで私が道案内をしますから」
そう言って話し続けたのです。私はよく状況は分かりませんでしたが、言われるままに公園を出て、左右に曲がったり、小さな川にかかる橋を越えたりしながら、ご主人の道案内にしたがって歩き続けました。すると15分ほどで家の真ん前に到着したのです。何か家の門や玄関に違和感を感じましたが、ご主人は電話で、
「入り口のドアを開けて入ってください。そこに私はいますから」
そう言って電話を切りました。私は言われるままに玄関のドアを開けました。そこにはご主人がいて笑顔で私を迎えてくれたのです。
「何ででしょう。道に迷ってしまいました」
私はそう言って苦笑いを浮かべました。ご主人はホッとした表情で私を見つめ、
「シュンさん、無事に到着できて良かったです。シュンさんが入り込んだ公園は私が子供のころに家の近くにありました。でももう、とっくの昔に無くなっています。その公園から家に続く道筋は何となく記憶に残っていましたから、シュンさんが目にして景色と自分の記憶を頼りにして、道案内を続けてみたのです」
ご主人はそう言うと怪訝な表情で私を見つめました。私は雪の中でパラレルワールド(異空間)へ迷い込んでしまったのでしょうか。私は帰りに駅に向かう途中、注意して周囲の景色を確認しながら歩きました。するとすぐに派出所があり、スーパーがありスムーズに駅に辿り着いたのです。どこを見渡しても行きに通ったあの公園は見つかりませんでした。(2)へ続く。