私にも時々、「霊能者になりたい」とか「弟子にしてほしい」という方から連絡が入ります。私は今までに誰かを弟子にしたことはありません。その理由は明確です。それは私自身がまだ、人に教えられるほどスピリチュアルの世界を理解しているわけではないからです。私は物心ついたころから、周りの人とは違った感性を持っていました。そのことに気づいたときから、この感性の実態がどのようなもので、私は何に向かって生きていったらよいのかをずっと探し続けています。それは師匠もテキストもカリキュラムもない中で、まさに暗闇の中で試行錯誤を繰り返してきたのです。何十年もの時間を費やして、スピリチュアルの世界というものの外観がようやくおぼろげながら見えてきました。しかしこの奥の深い世界をきちんと理解するには、まだ何十回も人生を繰り返して生きていかなければならないでしょう。まだまだ自分自身が手探りで探求している私に、人に教えることなど到底できないのです。

 

私と関わりを持ってから霊的にどんどん開いていって、今では霊能者として活動している方は何人かいます。私はその人たちに霊能者になるためのすべを教えたわけではないのです。私はその方たちと何年間も、人によっては20年近くも私と霊視鑑定を通してお話をしてきました。その中でその人たちは、スピリチュアルの世界について何度も尋ねてきました。また、霊の世界や人の感受性について質問してきました。私はそのときに自分の体験を語り、私に答えられる質問には率直に答えてきました。その中でその方たちは、自分の感性を鍛え、この世界を進んで行くためのヒントを得てきたのです。そして私と話す時間を良い刺激にして、霊的な間口を開いてきたのです。

 

アメリカのアリゾナ州に「セドナ」という町があります。この町には「ボルテックス(渦・渦巻)」と呼ばれる4つの有名なパワースポットがあります。セドナは昔はネイティブアメリカンの聖地だった場所です。今、この町は“全米で一番美しい町”と称されて、町全体がパワースポットになっているのです。そのためこの町には世界中からスピリチュアルに関心のある人たちが集まります。有名な霊能者や宗教家は弟子を何人も引き連れて、ここに自分たちのコミュニティを作って移住しています。彼らのコミュニティではしばしば面白い現象が起こっています。このコミュニティでは、強い霊能力を持った霊能者に付き添って、普通の感性を持った人たちも一緒に生活しています。すると時間が経つうちに、弟子たちの中から、師匠のように霊的に広く間口の開いていく人が何人も出てくるのです。それは師匠から何かを教わったとか、修業を積んだ成果ではありません。ただ、一緒に生活していただけなのです。そういった現象がセドナのあちこちのコミュニティで起こっているのです。

 

それはセドナという土地のパワーによって引き起こされているのでしょうか。私はそうは思いません。セドナは世界有数のパワースポットですから、霊的に開いている霊能者からすれば、非常に気持ちよく生活のできる場所です。しかし、弟子の霊的感性が開いたのは、セドナの土地のエネルギーに起因したのではなく、強いパワーを持った霊能者と生活を共にしたことによって引き起こされているのです。こういったことはセドナ以外の土地でもしばしば起こっています。たとえば、仏陀(釈迦)には、「十大弟子」と言われるように、有名な弟子が何人かいます。イエス・キリストにも「十二使徒」と呼ばれる高弟がいます。彼らは元々鋭い感性を持っていたと思いますが、そこまで彼らが霊的に開いたのは、釈迦やキリストとともに生活している中で、その刺激(パワー)によって彼らの霊的な間口が開いていったのです。つまり、霊的に開いている人と関わりを持ったり、一緒に過ごす時間が長くなれば、その影響は周囲の人にも伝わります。ですから私に霊視鑑定で何年もの間、さまざまな質問をぶつけてきた人たちは、自分でも気づかないうちに、私から影響を受けていたのです。私に長く相談を続けてきた人の中に、今は霊能者として仕事をしている人が何人かいます。その人たちは、私の言葉によって理解したことに加えて、私と長く関わってきたことによって、そのこと自体が一つの刺激となって霊的に開いていったのです。(3)へ続く。

 


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