忌み数(いみかず)とは、不吉であるとか、縁起が悪いと考えられて忌避される数や番号のことです。ジンクスの一種で迷信ですが、社会的にその意味が定着すると心理面や文化面で影響を及ぼすことがあります。日本では4は「死」、9は「苦」に通じることから忌み数とされてきました。したがって日本の自動車ナンバーでは、登録番号の下2桁が「42」になる自動車用ナンバーは、在日米軍向けと希望ナンバーを除いて交付されていません。また、鉄道車両の番号やバスの車両番号でも「4」や「42」「49」は使用を避けることがあります。競技場や空港のゲートでも「4」を避けたり、ホテルや病院、マンションやアパートの部屋番号でも、一の位が4となる号室(104号、204号等)を設置しないことがしばしばあります。駐車場でも「4」や「9」の番号を飛ばすことがあります。大阪府咲洲庁舎は55階建てですが、「44階」は存在しません。大日本帝国海軍でも「3」」は「惨」に通じることから「3」や「3」の倍数の数字は不吉というジンクスが存在しました。

 

そして実際に不幸な沈没事故も起こっています。「伊号第33潜水艦」は、「伊15型潜水艦」の14番艦として、三菱重工神戸造船所で建造されて1941年に進水しました。その年の8月、「伊33号艦」は母港の呉を出発して、ソロモン諸島方面へ向かいました。その後、「第二次ソロモン海戦」で、浮上航行していた「伊33号艦」はアメリカ空母エンタープライズを発艦した偵察爆撃機から空爆を受けます。それを回避するために急速潜航した際に、サンゴ礁に衝突したため、艦尾ハッチから浸水してしまい、水深33mの海底に着底しました。そしてこの事故で航海長以下33名が死亡したのです。それから「伊33号艦」は修理のために、呉海軍工廠に曳航されます。そこで修理と改装を終えた「伊33号艦」は、乗組員の訓練のために、伊予灘で急速潜航を行いました。その際に右舷ディーゼル機関吸気用弁が閉鎖できずに浸水が始まります。前部魚雷発射管室に乗員13名が、電動機室に乗員31名が取り残されました。艦長以下司令塔にいた乗員は、最後の脱出手段としてハッチを解放して8名が脱出に成功します。しかし、脱出した乗員も5名は潮に流されて行方不明となり、漁船に救助された3名もうち1名が死亡しました。艦内に取り残された乗員は大半が窒息死して最後の乗員は自殺しました。1944年4月16日に沈没した「伊33号艦」は、戦後1953年7月23日に艦の浮揚作業が行われました。その際に、腐敗せずに残っていた乗員13名の遺体や遺書などが発見されました。その後、当時の日立造船因島工場で「伊33号艦」は解体されることになりました。その作業中にも前部魚雷発射室で作業に当たっていた元海軍技術士官3名が、ガス中毒で亡くなる事故が発生していたのです。この事故を見ても当時の海軍で忌み数とされてきた「3」がさまざまにかかわっていることが分かります。艦名がそもそも「伊33」であること。そして建造したのが「三」菱重工であること。ソロモン諸島で浸水して着底した際の水深が33mであったこと。そしてこの際に33名が死亡していること。伊予灘の事故で漁船に救助されたのが3名であったこと。さらに日立造船で解体作業中に、3名がガス中毒で亡くなったことです。

 

他にも忌み数は世界中に存在します。英語圏では11や111のピンゾロがsnake eyes(蛇の目)と見なされて嫌われています。そのため1階では110号室の隣が112号室になることがあります。ヨーロッパでは、地上階(G階、或いは0階)の上が2階になり、1階を作らないことがあります。ベトナムでは「3」が「惨」に通じるとされて忌み数になっています。そのため2階の上を「3(惨)」と「4(死)」を避けて、5階にすることがあります。漢字文化圏の国では日本と同じように「42」が「死に」なり、「49」が「死苦」や「始終苦」に通じるために忌み数になっています。西洋では、宗教的な要因などから「13」を忌み数にしています。したがって13階のない建物が多く、13階があっても機械室などにして利用者が立ち入りできない場所にしていることが多くあります。さらにイタリアで「17」が、ローマ数字で書くとXVⅡとなり、ラテン語でVIXIは死を意味することからです。このように忌み数は世界中に存在しますが、カナダのバンクーバーでは2015年7月から、新築物件には正しい階数を表示することが義務付けられています。それは忌み数を除外して階数表示をすることで、災害時の消火活動や救援活動に支障をきたす可能性があるからです。私は忌み数についてはほとんど気にしていません。それは忌み数の数や解釈は地域によってさまざまで、同じ番号でも忌み数とされる場合もあれば、吉数とされる場合もあるからです。ちなみに私が参加している地元の草野球チームの私の背番号は4番です。

 


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