経営者は遠慮がちに私にこう尋ねました。
「実は霊の問題は私も気になっていたことなので、ぜひ対処していただきたいのですが、今すぐにでも何か手を打っていただくことはできないでしょうか。今、死霊や生霊がお店に入り込んでいると聞いて、一日だってその中にいるのは嫌なのです」
経営者の気持ちはよくわかります。私は特に除霊や結界の準備をしてきたわけではありませんし、霊的なものに対抗できるアイテムも持ってきていません。でも、霊的なものに対抗したり祓うためのマントラは頭の中に入っています。
「分かりました。それではさっそくこの店の中に溜まっている霊的なものを祓いましょうか。それはマントラを30~45分唱えることですぐにできます。ただし、祓ってもそのままにしておくと、このお店にかかっている霊道を通って、不浄霊はどんどん入り込んできます。ですから事務所に戻りましたら、お札とパワーストーンをすぐに2つずつ作ってお送りします。店内には観葉植物を2鉢置いてください。そして目立たないようにその土中にパワーストーンを埋め込んでください。そしてお札はお客様の目がありますから、店内ではなく厨房の中の天井と更衣室の壁に貼ってください。それで入り込んでくる霊的なもの(死霊や生霊)の90%~95%はブロックできますから」
私は呼吸を落ち着かせた後、目を閉じて印を結び、霊的なものを祓うマントラを唱え始めました。
私は40分ほどマントラを唱えてお店の中に溜まっている死霊と生霊を祓いました。
「空気が変わりましたね、お店の照明が今までよりも明るくなった気がします」
お店の経営者はそう言ってホッとしたように笑顔を向けました。
「お店の中の人間関係はどうですか?お客様とお客様、お客様と従業員、従業員と従業員、どれもあまり上手くいっていなかったのではないでしょうか。霊の影響はその人のタイミングを悪くしたり、無意識にしている選択や判断を悪くしたり、体調を悪くするなど、さまざまな形で出ます。そしてその向かう先は“孤立化”になります。ですから霊の影響を受けているオフィスや店舗の中では、しばしば人間関係が悪くなってトラブルが絶えなくなります。そしてお客様も従業員も離れていくことになるのです」
経営者は私の話に納得したように何度もうなずいています。
「さらに霊の影響は私のような霊能者でなくても、多くの人は何となく感じ取っています。ですからどれだけ美人で気立ての良いホステスが、丁寧な接客をしたとしても、お客様はどこかでこのお店に理由のない不快感や苛立ちを感じてしまいます。その結果、頭の中では良いお店だと理解していても、“もう一度行きたい”とは思わなくなるのです。そうやって人の集まらないお店になっていくのです」
「すべておっしゃる通りです」
それから私は急いで事務所に戻り、このお店の波動に合ったパワーストーンを仕入れ先に発注しました。後日、そこに霊的なものに対抗するマントラとパワーを念じこんで、2枚のお札とともにお店へ郵送しました。お店の中をきれいにしたら、できるだけ早くその状態で蓋をして良い状態を長く保ちたいのです。それからこのお店は少しずつお客様が集まり、従業員も定着するクラブになっていきました。ただ、霊道の中にあるこのお店は、パワーストーンやお札によってお店に蓋をしても、霊的なものの侵入を100%ブロックすることはできません。少しずつですが死霊も生霊も入り込んでしまいます。そのためお店の空気感が変わってくると、お店の経営者は私に連絡をよこして、私はお祓いをするためにこのお店へうかがっているのです。