以前、出張鑑定へ向かう途中に食事と休憩を兼ねて、大きな駐車場のあるレストランに立ち寄ったときのことです。私は席について注文を済ませた後、しばらくボーっとして運転で疲れた目を休ませていました。そして特に見るとはなしに周囲に目線を向けていたのですが、奥の席に近い一つのボックス席に目が留まりました。何かその席だけ白いモヤがかかったようにかすんで見えたのです。私は思わず目をこすってそのボックス席を見直しました。すると今度は何か黒いものが漂っているように見えて、すぐに全身に鳥肌が立ちました。お店の中はいたって普通の店内で、特に土地やお店に霊的な問題は感じません。しかし、その一角だけ何か重たいものが残っているのです。私は一瞬それが何なのか見極めようと思いました。死霊なのか人の念のなのか、或いは霊はく(=その場所に関係している人が残していった強いネガティブな想念の塊)なのか。ただ、これから相談者と会って話をする前に、おかしなものを憑けていくわけにはいきません。私はすぐに思いとどまって、スマホをいじり始めました。意識をそのボックス席から外したかったからです。そうしているうちに食事が運ばれてきました。
私は食事を食べながらふとあることに気づきました。お店は満席に近いぐらいに混んできました。入店したお客さんにお店のスタッフは
「どこでもお好きな席へお座りください」
と案内しています。それにも関わらず、誰もその席には座らないのです。じっと店内の様子を見回すと、やがて空席は出入口の近くのレジの前と奥の手前にあるそのボックス席の2つになりました。その場合、私ならレジの前では人の動きがありますから落ち着いて食事をとれません。迷うことなく奥の席を選ぶのですが、入ってきた男女は店内を見回した後、レジの前の席に座ったのです。
私は“なるほど”と思いながらこの光景を見ていました。人には我々のように明確に霊の状況を感じ取れなくても、霊的なものに対して“何となく”違和感や嫌悪感を感じるセンサーがついています。そのセンサーは無意識のうちに、霊障や霊的な因縁から私たちを守っているのです。同じような経験は数多くあります。駅のホームで入ってきた電車を何気なく見ていました。目の前を通り過ぎていく車両の中に、何か黒いものを感じた1両が私を通り過ぎた先で停車しました。この車両だけ、隣の車両よりも明らかに空いていたのです。混雑している車両よりも空いている車両に乗りたいのは当然ですが、私はその車両の前まで歩いた後、やはり隣の車両に乗りました。
私は「売り上げが伸びない店舗を何とか改善してほしい」と頼まれることが時々あります。その場合、実際にその店舗に足を運んで状況を確認するのですが、多くの場合、その店舗には霊的な問題が潜んでいます。おいしい料理を安く提供する感じの良い飲食店でも、お客さんが付かないお店はあるのです。特にお客さんが心地よさを求めてくるようなお店は、このことが繁盛するのかどうかの大きなポイントになります。具体的には、マッサージ店やリラクゼーションのお店、またエステやアロマのサロンなども、技術だけ優れていてもリピーターは増えません。技術はもちろん大切ですが、それ以外にその場にいるときにお客さんに心地良さを感じてもらわなければなりません。この心地よさの部分が霊的な問題に大きく左右されるのです。つまり人が集まりにくい場所は、そこに霊的な問題が絡んでいることがしばしばあります。ですからこういった問題の影響から身を守るためには、“何となく嫌な感じがする場所”は、明確な理由がなくてもそこにとどまるべきではないのです。