動物が不思議な力を持っているのは今、お伝えした“犬”に限ったことではありません。そもそも“アニマルセラピー”と言われるように、人は動物と触れ合うことで、その人が抱えているストレスを軽減させたり、自分に自信を待たせることができます。馬やイルカのように情緒水準が高いと考えられている哺乳類などと接することで、不登校や引きこもりの改善の他に、小児がんの治癒力向上にも効果があると言われています。モンゴルでは、乗馬療法、治療的乗馬、ホースセラピーなどの名称で、馬を通したアニマルセラピーが盛んに行われています。他にも高齢者医療や難病患者のように長期間の入院生活を強いられる人の精神的安定や癒しのために、動物と触れ合うことが役に立っています。

 

私の知り合いが飼っている猫は、家族の誰かが体調を崩すと、それを察知したように、その人の近くに行ってずっと寄り添ってます。普段は、家の中の自分の好きな場所を気まぐれにぐるぐると回っています。それが家族の誰かが布団の中に臥せっているときはもちろん、デスクに向かって仕事や勉強をしているときでも、体調の悪い人がいれば、ずっと膝の上に載ってきたり、隣にいていつまでも見守っています。そして猫が自分の隣にいてくれることで、不思議と気持ちは癒されて病気もスムーズに回復していくのです。そうなると猫はペットを超えて頼りになる家族の一員になります。

 

他にも夫婦も親子の関係も悪く、一家四人がいがみ合ってバラバラになっている家庭がありました。この家では夫婦の会話もなく親子の会話もありません。家族4人が自分勝手に生活しています。したがって家族で一緒に食事をすることはめったにありません。母親が朝食を用意しても他の家族は食べずに家を出ていくことがしばしばあります。夜、帰宅すると母親の作った夕食を食べずに自分の部屋へ直行してそのまま眠ってしまいます。こうなると母親は自分の作った料理をむなしくゴミ箱に捨てることになります。こんなことを子供が学生時代から何百回となく繰り返してきたお母さんは、とうとう食事を作らなくなりました。家族には、

「いつも作った料理を捨ててばかりでは材料費も無駄だから、家で食事をするときはあらかじめそう言ってください。その時は作ります」

そう話しました。一家の柱である父親も、こんな自分勝手な子供たちに何一つ注意を与えることなく、自分も仕事を口実に朝帰りや無断外泊を繰り返していたのです。

 

私は母親から相談を受けました。

「4人しかいない家族だし、やはりどこかでつながっていると思っています。だから、できれば普通の家のように、家族で仲良く会話したり、出かけたりしたいのです。でも、もう何年のこの調子で暮らしてきたから、家族で仲良く話をする“きっかけ”がないんです」

母親はそう言って顔を曇らせました。私は母親に話しました。

「長年、自由勝手に振舞ってきたご主人や、それを見て育ったお子さんたちを看過してきたために、悪い習慣が身についてしまっています。しかし、ご家族4人の霊的な波長はそれほど離れていません。ですから家族で話をできる“きっかけ”ができれば、そこから会話が始まり、普通に意思疎通を図ることもできると思います」

「では、具体的にどうすればよいのでしょうか」

母親はうつむきながら私に尋ねました。私はこの家族4人が笑顔で食事をしている未来を心に強くイメージしました。そのとき家族の間に一匹の白い猫がちょこんと座っている様子が頭に浮かんだのです。(3)へ続く。

 


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