8月2日、陸上女子1500メートル予選に田中希実選手と卜部蘭選手が出場しました。この種目に日本人が出場したのは長いオリンピックの歴史の中で初めてです。日本では陸上種目では、短距離競走やマラソンの人気が高く中距離競走はあまり注目されてきませんでした。オリンピックに出場するためには「参加標準記録」を突破しなければなりませんから、出場するだけでもそのハードルは高いのです。しかも田中選手は自身の日本記録を1秒75更新する4分2秒33で予選を突破して準決勝へ進出しました。卜部選手は残念ながら準決勝へは進めなかったものの、自己記録を3秒近くも更新する4分7秒90で走りました。田中選手はレース後のインタビューで、

「(外国勢の)皆さんは、スピードがあるので、”(無理して)行こう、行こう”という空気を感じなかった。(レースを先頭で引っ張った)自分は、ペースメーカーのように使われたが、この展開をラッキーと捉えて、自分のペースでレースを運んだ」

と、積極的なレースをしたことを話していました。田中選手も卜部選手も本番で自己記録を大幅に更新したのは本当に素晴らしいことです。メンタルの強さもそうですが、体調やコンディションを本番に合わせて調整するのは、本当に大変だったと思います。田中選手にはこのあとも決勝進出を目指して頑張ってもらいたいと思います。(※田中希実選手は8月4日に行われた女子1500メートル準決勝で、日本記録をさらに

更新した3分59秒19で走り、見事に決勝へ進出しました)

 

これはスポーツに限ったことではありませんが、ペーパー試験でも面接試験でも演奏会でも本番で力を出し切れるというのは大変なことです。本番になると緊張やプレッシャーから自分の力を出せずに失敗してしまう人がいます。そういった方から相談を受けた時に、私がよく言うのは

「自信を持って本番に臨んでください」

と言うことです。これをもう少し詳しく説明すると、

「自信が持てるように、しっかりと準備を整えて本番に臨んでください」

と言うことになります。自分に自信があれば緊張や不安を乗り越えることができるのです。

 

自信を持つためにはどうしたらよいのか。まずはできるなら実績を作れれば、それは自信につながります。ここでいう実績とは、自分が作ったものでなくても構いません。自分が所属している組織や先輩の作った伝統であってもそれは自信になるのです。たとえば甲子園の高校野球の組み合わせ抽選会で、自分の高校の対戦相手が「大阪桐蔭高校」や「東海大相模高校」といった強豪校に決まったとします。それを見ていた選手からは「あ~」というため息が漏れます。

「これはもう1回戦で苦戦必至ではないか」

というあきらめのため息です。確かに大阪桐蔭高校や東海大相模高校は何度も全国優勝している強豪校です。でも、冷静に考えれば、全国優勝した時の強力なメンバーと自分たちが戦うわけではないのです。これから自分たちが対戦する相手は、自分たちと同じように初めて甲子園のグラウンドに立つ選手もたくさんいるのです。それでも強豪校の選手は自信を持って試合に臨みますし、無名校の選手は気後れしてゲームに入ります。これは強豪校には今まで全国大会を勝ち抜いてきたという”実績”があるからです。実体としての今の力とは関係なくても、過去の実績が選手に自信を与えているのです。ですから仕事でもスポーツでも演奏会でも、実績を持っている人は、それを拠り所にして自信を持てば良いでしょう。しかし、実績は簡単に作れるものではありません。それでは実績のない人が自信を持って本番に臨むにはどのような準備をしていけば良いのか、お伝えしていきたいと思います。(4)へ続く。

 


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