今回のオリンピックでは、バトミントンの高原希望選手もそうですが、体操の内村航平選手、バトミントンの桃田賢斗選手、トランポリンの森ひかる選手、競泳男子400個人メドレーの瀬戸大也選手など実力も実績もあって、金メダルが期待されるような選手がメダルにも手が届かずに敗退してしまうことがとても多かったように思います。特に柔道の混合団体の銀メダルには驚かされました。この競技は軽量級・中量級・重量級に男女それぞれ3人ずつ、計6人の代表を出して戦います。柔道の個人戦で日本は9個の金メダルを取っています。対するフランスの金メダリストは1名です。単純に9人の金メダリストから6人の代表を選んだとすれば、全員がそれぞれのクラスのチャンピオンなのですから、日本が負けるわけはないのです。もし、勝負の流れで2名が敗れたとしても、残りの4人が勝てば順当に勝利します。しかし、結果はフランスに4対1と差を付けられて敗れたのです。私は勝負の勝ち負けやメダルの獲得数には興味はないのですが、この結果には驚きました。
私は今、浄霊を行っていますので、マントラを唱え終えた休憩時間に、テレビを眺めることがあります。オリンピック中継を見ている中で、アナウンサーの、
「オリンピックには魔物が住んでいます」
という言葉を何度も聞いたように思います。この言葉はよく高校野球の実況中継でも耳にします。
「甲子園には魔物が住んでいます」と。
魔物が住んでいる=勝負の世界では、実力が上の選手(チーム)がいつも順当に勝てるわけではないということです。それは勝負の勝ち負けには選手の運動能力や技術以外にメンタルが大きく作用しているからです。
専門家は今回、有力選手が何人も勝てなかったことについて、
「練習はそれぞれ十分に積んで準備をしてきましたが、コロナで試合がほとんどできなくなったことで、調子を上げてこれなかったのではないか」
と分析しています。
私も番狂わせが続いた理由にコロナは関係していると思います。ただ、私が思ったのは、コロナによって本番前の試合数が、激減したことによって試合に勝って自信を持って本番に臨んでいた有力選手のペースが完全に狂ってしまったことです。無名の韓国人選手に敗れた世界ランキング1位の桃田賢斗選手は試合中ずっと不安な顔をしていました。その表情は相手に連続で得点されると、さらに怯えたように曇りました。実際、この試合では連続で10点も相手に得点された場面がありました。格上の相手に勝てば、勝った方は自信を持ちますし、さらに勢いが付いてきます。負けた方はよりも気持ちが守勢へ回ってしまいます。この試合の後のインタビューで桃田選手は、
「気持ちが引いてしまった。攻めきれなかった」
と消えそうな声で呟きました。実際、桃田選手は相手のスマッシュを拾うだけで、ほとんど自分から攻めていけませんでした。無名選手と言っても相手はオリンピック選手ですからこれでは勝てるわけがありません。コロナで本番前の試合数が少なかったのは相手も同じですが、有力選手はいつも本番前の壮行試合で勝って本番に臨むことが多かったため、試合ができなかった不安は格下の選手よりも大きかったのだと思いました。柔道の混合団体は、やはり1番手に戦った選手が敗れたことで2番手の選手にプレッシャーがかかり、さらに2番手の選手が敗れたことで、日本チーム全体が追い込まれたムードになっていたように思いました。フランスは最初の2人が勝ったことで”勝てる”と自信を持ちました。逆に日本は最初の2人が敗れたことで”もう負けられない”という追い込まれた状況の中での試合を余儀なくされました。
私は人間の身体は肉体とアストラル体(=精神的な身体)とエーテル体(=霊的な身体)が三位一体となって重なり、お互いに影響を与え合っていると考えています。そうだとすれば精神的に強くプレッシャーがかかったり、自信を持てない状況で勝負に臨むことが、本来その人の持つ力を半減させてしまうことも致し方ないことなのだと思いました。(3)へ続く。