先日、私に相談された女性は、顎から首にかけて大きな赤黒い痣がありました。女性ですし目立つ場所なので、10代の頃はとても気にしていました。外に出て人前に立てば、必ず痣をジロジロと見られます。子供の頃は口の悪い男子から「祟りじゃ~」とからかわれたり、“化け物”と陰口を言われたこともあります。そのため学校に行くのが嫌になり、不登校になって家に引きこもりました。母親は娘をそのような姿で生んでしまった自分を責めて、娘を強く叱ることは出来なかったと言います。二十歳を過ぎてからシミを取るレーザー治療を何回か受けたのですが、きれいに痣を取ることは出来ませんでした。それどころかレーザーで薄くなった痣は、時間が経つとまた赤黒い色を取り戻して姿を現します。最後には悩んだ末に、霊能者や祈祷師のお祓いまで受けに行ったのです。その切ない思いや辛かった人生を考えると本当に胸が痛みます。彼女は人と会わなくても生活していけるように、パソコンの技術を身に付けました。そして自宅のパソコンで毎日、膨大なデータの入力作業を続けています。そして私にこう話しました。
「シュンさん、私はもうこの痣を消すことは諦めました。でも、どうして私は顔にこのような痣を持って生れてきたのでしょうか。いろいろな方に相談して、たくさんお金も支払いましたが、誰一人として納得のいく答えを出してくれた方はいません。ですからどうしてこの痣があるのか、そしてどうして消してもまた浮かび上がってくるのか、その理由をシュンさんの教えてほしいのです」
私は彼女に話しました。
「体にできた大きな痣やホクロで、特に目立つところにできているものには、それなりの理由があることが多くあります。よくそれは先祖の因縁だとか、先祖が人を殺した怨念だという人がいます。実際にそういうケースもあるのですが、私はあなたには古い時代の怨念は何も感じません。そういった因縁因果の問題ではなく、自分の前世や過去世が悪い意味ではなくて影響しているケースもたくさんあります。顔に目立つ痣ができて嬉しい人は誰もいません。本当に悲しい思いをたくさんされてきたとお察しします。でも、この痣ができた理由は決して悪いことでないこともあるのです。ですからどうか心までネガティブに染めないでください」
私は話を続けました。
「たとえば人が来世に生まれ変わる時、出会うべく人と出会った時に、お互いに相手を認識できるように約束した場所に痣やホクロを残して生れてくることがあります。”バースマーク“という言葉があります。これは前世の記憶が肉体にさまざまな形として現れる”印”のことを言います。これは特に目立つ場所にできた時は、前世で亡くなった時に、致命傷となった場所にできることが多くあります。前世を生きた魂が、自分が生きていたことの証として、来世の肉体に印を残すのです。何か大きな役割を持って生れてきた人が、自分にその使命があることを気付かせるために、身体に印が残されていることもあります。ですからあなたも冷静になって、痣に意識を集中してどんどん意識を深く深く落としていってください。そのときに何かあなたが今世でやらなければならない使命が思い浮かんでくるかもしれません」
彼女の表情からは悲しみの色が消えていきました。
「また、前世で深く愛し合っていた恋人たちが、前世で添い遂げることができなかった時、来世ではきっと出会い、結ばれることを約束して、生まれ変わった体に目印を残すこともあります。これは恋人同士でなくても、子弟関係や親子関係、またライバル関係でも、その思いが強い時に現れます。ですから、もしあなたと同じような場所に痣やホクロのある人と出会った時に、あなたは前世からの因縁を感じる可能性もあるのです」(2)へ続く。