先日、私に相談した方は、高校3年生の息子さんの大学受験で悩んでいました。私も大学は2つ通いましたが、昔と違って今の入試制度は本当に難解で良く分からないものになっています。私が受験した時には、すべての国公立大学および産業医科大学の入試志願者を対象として、全国の各会場で共通の試験問題による基礎学力試験が一斉に行われました。「大学共通第1次学力試験(=共通一次試験)」です。その試験を受けた後に各大学ごとの2次試験へ進んでいきました。そして私立大学の志願者は、各大学の学部・学科ごとに学力試験が行われました。試験は一般入試と推薦入試がありました。以上でした。

 

 

今は共通1次試験が、大学入試センター試験へ代わり、2021年度から、「大学入学共通テスト」が実施されています。この試験結果だけで複数の大学を受験できますし、一般選抜試験と併願で受験することもできます。この試験問題は、センター試験よりも解答マーク数を減らした分、グラフや地図、写真や文章など読み取る資料の数が増えて、思考力や判断力の質を問う問題が重視されました。

 

また、令和3年4月入学対象者からは「総合型選抜試験」=旧AO入試(admission office)は、「対話重視型選抜方法」と「書類論文重視型選抜方法」があります。対話重視型ではエントリー登録をした後に、面接を重ねていって選抜します。書類・論文重視型では、出願時に調査書や志望理由を提出して1次選考を行います。その後に小論文やエッセイなどを提出して合否を判断します。他にAO入試とは別枠で自己推薦入試を行っている大学や公募推薦、指定校推薦、一芸入試を行っている大学もあります。さらには1回の試験によって、全学部の入試ができる大学もあります。

 

このように国の入試制度自体が変化して、大学の入試方法もさまざまに別れてくると、その中で自分にとって最も有利な形で入試を行っている大学を多くの人が目指すことになります。そのためには各大学の受験方法を詳しく研究していかなければ、どの大学や学部を受験することが自分に合っているのかは分かりません。そうなると受験生本人はもちろんですが、親御さんも子供のために情報収集に走ります。それは書籍から、或いはインターネットや先輩たちの口コミ、そして塾や予備校の教師と言った専門家の意見も取り入れます。そうやって情報が増えすぎて、誰を信じたらよいのか分からなくなってしまった親御さんが私に相談してくるのです。

「シュンさん、子供はどこ大学を受験することが、もっとも合っているのでしょうか?」

私はそんなときによく伝えることがあります。

「今の入試制度はとても複雑です。ですからその中で最も有利な形でお子さんに受験させたいというお気持ちは良く分かります。でも、制度に惑わされて本質を見失わないでください。最も肝心なことは、お子さんが大学に入って何を勉強したいのか、或いは将来どのように仕事について身を立てていきかたいのかです。今は試験のところまでしか目線が届いていませんが、その先には4年間の大学生活があります。そこを充実した形で過ごしていくためには、自分の目標や目指す将来像を明確にした上で、大学や学部を選ぶ必要があります。それを考えずにただ、有利に入れそうな大学や学部を選んでしまっては、大学に入ってからのモチベーションが維持できなくなります。そうなるとお子さんにとっての大学生活は、単に社会に出るまでのモラトリアムで終わってしまいます」

 

今の時代はインターネットを中心に情報があふれています。ただ、必要以上の情報を集めることは、却って自分を混乱させて進む道を見誤らせることが多いのです。情報に埋もれてしまうことは、自分の本音として求める生き方から遠ざかってしまうことがあります。特にマスコミからもたらされる情報は、事実ではなくマスコミによって手を加えられたものであることが多く、事件や事故などネガティブな情報にあふれています。その結果、知らず知らずのうちに自分の心をネガティブに染めてしまうこともあります。

情報は“必要な時に、必要な分の情報を入手することが最も有効だ”と考えてください。

 


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