霊体験をしばしばしてしまう人と、生まれてから一度も経験していない人がいます。しばしば霊体験をしてしまう人は、”霊勘が鋭い”とよく言います。それは霊感と言うアンテナの感度が良いように聞こえますが、正確に言うと感度の問題ではなくて体にある霊的な間口が広いのです。不浄霊が憑依してきたり、同調するときに体に入る入り口が”霊的な間口”です。この大きさは人それぞれで異なっていて、この間口の中心に自分の霊的な波長があります。間口が広ければ自分の波長から離れている波長の霊とも同調できますから霊体験をする頻度は高くなります。

 

今回、私に相談した方もそうですが、霊的な間口が広い人は何度も不浄霊などの霊的なものとつながってしまいます。つながればその霊の影響を受けます。霊の影響はその人の体調を悪くしたり、タイミングを悪くしたり、人間関係を壊したりします。そして強いものや自分の波長に近いものとつながってしまった時に”意識が飛ぶ”ということがあるのです。

 

この場合、意識が飛んでいる本人は、夢遊病者のように、知らない場所へ行くことがあります。多くの場合は、自分でも知らないうちに家に帰って布団で寝ていたというケースです。人間も動物ですから意識しなくても、おのずと帰巣本能が働くのでしょう。あとは何か自分に関係のある場所に行くこともあれば、土地に棲んでいる地縛霊と波長が合ってしまったことで呼び込まれてしまうこともあります。私は、以前は意識が飛んで、行くつもりのない場所で気が付いたことが何度もありました。

 

ある時は、日本で2番目に標高の高い山梨県の「北岳」の麓に、都内から電車を乗り継いで行っていたことがあります。このときはその1か月前に行方不明者の捜索で、この辺りまで来ていました。その人は家を飛び出して、山の麓にある宗教団体の施設にいたのです。この人の霊的な波長を自分の意識に強く刻み込んで行く先を追っていたのです。この捜索は終了していたのですが、その時の状況が意識の中でフィードバックしていたのだと思います。

 

また、ある時は、やはり都内から電車に乗って静岡県内の住宅街にある喫茶店で気が付きました。ふと我に返って外の様子を見ました。すると見覚えのある大きな白い塀の家が目に入りました。私は以前、その家の向かいの家の敷地に結界を張っていました。その作業をする時に、この白い塀の横に車を止めて、車の中からマントラを読み上げて結界を張っていたのです。自分では忘れていたのですが、私の意識の底にはこの時の状況がしっかりと残っていたのでしょう。このように霊的な意味で自分が関係している場所に引かれて、無意識のうちにその場所へ来ていることがあります。

 

私に相談した人の中では、意識が飛んでしまうといつも同じ場所に来ているという人がいました。その場所には何の心当たりもないため私に尋ねてきたのです。私がその理由を霊視すると、そこはその人が前世で住んでいた土地だったのです。私がこのことを伝えたところ、

「そういえば理由は分かりませんでしたが、この土地に来るととても懐かしく思えて気持ちが落ち着くのです」

と話していました。

 

このように霊的なものと強く同調した時に、意識が飛んで知らない場所に行ってしまうことは起こります。ただ、私の経験から言うと、これは生涯、続くわけではありません。まず、霊的な感度は、それが敏感になる時期と安定する時期が波のように訪れます。敏感期に頻繁に霊体験を繰り返していても、安定期になれば、年単位で霊障を受けなくなる時間も訪れます。先ほどお伝えしたように、私は若い頃からしばしばこの現象に悩まされましたが、ここ10年ぐらいは一度も起こっていません。私には、全国の霊障に悩む方から相談が寄せられますが、これは霊体験をしたすべての人に言えることなのです。ですから私の場合は、敏感な時期は出来るだけ外に出ないとか、特に自分の生活圏を離れないように気を付けています。そのように自分で注意して暮らすことで、怖くても大きなアクシデントにはならずにやり過ごしていくことはできるのです。