多くの人は、投資の世界で勝ち上がるためには、経済の知識や投資のテクニックを学ぶことや的確な情報を幅広く収集すること。そして知り得た情報を正しく分析する力が必要だと考えます。もちろんこれらのものは最低限身に付けておかなければ、自分が何にどれだけ投資することが有効なのか、それさえ見えてきません。私に相談された方は具体的には株とFXに投資しています。FXは外国為替証拠金取引と訳されます。簡単に言うと、円とドルとか、ポンドとユーロなど、2つの通貨の値動きを見て、上がると思えば買えば利益になりますし、下がると思えば売れば利益になります。その逆に動いてしまえば損失になります。もし、ドルが上がると考えてドルを買ったとします。結果、ドルが値を上げたとします。ただ、ドルがどこまで値を上げ続けるのか、投資家はその限界を見極めて、できる限りリミットに近いところで清算するのです。逆にドルが下がって損失が出たとしても、下がった後でV字回復して、ドルが上がり始めることもあります。ですからマイナスが出たとしても、どこで損切り(清算)するのか、その見極めも重要になります。相場の世界では常に勝ち続けることは出来ませんから、そうやって小さく負けて大きく勝つように売りと買いを繰り返して、利益を膨らませていくのです。

 

ですから売りや買いのタイミングを見極めるために、ほとんどの投資家は経済指標やテクニカル指標と言われるその国の経済状況を示す数字や値動きを表わすデータを見て判断します。そしてニューヨークやロンドンなど外国市場で今、通貨がどのように動いているのかもチェックして、売りに出るのか買いに出るのかを判断するのです。このようにしてプロ(=金融機関の為替ディーラーなど)は毎日何百億円単位の通貨を売買しています。そして家で投資しているアマチュアのデイトレーダーも何十万円~何百万円という大きなお金を動かしています。特にプロのディーラーは仕事として他人の預けたお金を動かしていますから、大きく儲けられないまでも、損失を計上することは出来ません。東大経済学部を卒業したような優秀な頭脳を持つ専門家が、会社が大金をかけて世界中に張り巡らせた情報網から、その国の経済の動きに関する情報を24時間収集しています。そうやって集めたデータに基づいて、売買のタイミングを見計らっているのです。

 

そこまでして売買を判断しているのですから、プロのディーラーは常に利益を出すことができるのでしょうか。答えは”ノー”です。アマチュアよりも勝率や収益の効率は良いとしても、それでもマイナスを計上してしまうときは、あります。過去には野村證券を始めとする大手証券会社の投資信託が、巨額の赤字を計上したことが何度もあるのです。優秀な人材をそろえて、世界中から幅広く情報を収集して、それを的確に分析している専門家でも、相場はデータ通りには動かないのです。相場がどこまで上がるのか、いつ下がるのか、その判断をデータだけに頼っている人はいずれ崩壊します。そもそも相場というものは、株式でも為替でも先物でも、過去のデータ通りに未来の値動きが決まっているわけではないのです。ですから経済の知識を掴むことや最新の情報を集めたとしても、勝率は上がるかもしれませんが、そのことによって最終的な勝ち組になれるわけではありません。

 

私には、過去にプロのディーラーを含めてたくさんの投資家から投資についての相談が寄せられました。しっかりとデータ収集して投資に臨んでいる人もいれば、自分の願望や思い込みだけで、無謀に大金を投資して大損した人もいました。彼らを長年見てきた中で、私からすると長く勝ち続けている人にはいくつかの共通項があるのです。(3)へ続く。