霊の憑依を受けた時に、その影響が自分ではなく自分の周囲の人たちに出ることがあります。よくあるのは浄霊を要するような強い霊障を受けているケースで、母親が受けている霊の影響で子供の具合が悪くなるようなケースです。たとえば母親の家系の因縁因果によって、成仏できずに100年以上も霊が現世にとどまってしまうことがあります。江戸時代に母親の先祖が罪のない人をひどい方法で殺していたとします。理不尽に殺された人は当然、殺した人を恨みます。時代劇などではこのような状況で、
「末代までも呪ってやる」
と叫んで事切れています。殺されて霊となった魂は、殺した人に復讐しようと思うでしょう。しかし、自分の霊的な波長と殺した人の霊的な波長が離れていれば、同調することができません。ですから殺した人に何ら悪影響を及ぼすことは出来ないのです。そうなると殺されて現世にとどまっている霊は、殺した人の子供が生まれてくるのを待ちます。待っている間、自分の波長に合う人がいれば、理由が無くてもその人に憑依します。それは誰かに乗っている方が(=憑依している方が)不浄霊は楽だからです。これが原因や理由が無くても波長が合ったことによって霊が憑依してくる状態です。
そしてようやく恨みの相手に子供ができたとします。その子供と波長が合えば、その子供に強く憑依して、その家を荒廃させたり、家の血を絶やそうとします。しかし、子供もまた自分と波長が合わなかったとすれば、さらに孫が生まれてくるのを待って、復讐の機会をうかがうのです。そうやって6代も7代も現世にとどまって波長の合う子孫が生まれてくるのを待ち続けたところ、ようやく100年、150年も経過して、波長の合う子孫が生まれてきました。そうなると不浄霊からすれば、復讐の相手方の血を引く人間ですから、霊障も非常に強く出るのです。
そういった強い恨みを抱いている霊が引き起こす霊障は、実に狡猾で執拗に対象となる子孫を苦しめます。不浄霊の波長と子孫の母親の波長が近いなら、普通に考えれば、母親に悪影響が出ます。身体の具合が悪くなったり、人生が上手く回らなくなって常に人生の足を引っ張られます。しかし、狡猾なものになると、母親ではなく、その子供が生まれてくるまで待って、子供に悪影響を与えることもあります。それはもし、子供が原因不明の病で、快方へ向かうことなく苦しみ続けることは、何よりも母親を苦しめることになるからです。多くの母親にとっては、自分の身体や人生の苦しみよりも、愛する子供が苦しめられる方が、精神的に堪えます。また、母親と子供は波長が近いこともしばしばありますので、母親に影響を出すことができる不浄霊はその子供にも悪影響を出せるのです。
同じ理由で、親子や兄弟といった家族関係でなくても、自分に憑いた不浄霊の影響が自分の周囲に出ることがあります。それは親子でなくても大切な人の苦しみを自分のことのように感じる人はいるからです。さらには自分の周囲の人に度々災いを起こすことで、その人をコミュニティーの中で孤立化させる狙いもあります。
以前、私に相談した方は、自分の友人や知り合いに、事件や事故、自殺や不審死、さらには看板落下、転落などが相次いだことがありました。さらにはその人と通話やメッセージを送受信した後に、スマホが故障するとか、異臭がすることもありました。このときはこの人や友人のスマホのヘルプ機能が、勝手に起動して、
「ご用件をお話しください」
と何度もメッセージが流れました。そしてこの人は友人たちから”悪魔の女”と陰口をたたかれて、気持ち悪く思われて孤立化していったのでした。それはまさに不浄霊の狙い通りの展開だったのです。