人間関係の相談を受けた際には、私はまず、問題になっている上司や同僚が相談者と上手くやっていける人なのかどうかを見極めます。上手くやっていける範囲の人であれば、前回お話ししたように、そのための具体策を見つけてお伝えします。ただ、残念ながら人と人との関係は、こちらがどのように歩み寄っても相手を立てても、敵対しても、良い関係を作れない人はいます。最も多いケースはお互いの”霊的な波長が離れていること”です。霊的な波長は指紋と同じように各人で別個の周波数を持っています。それが離れているとつながることができませんので、相手の考えや本音は伝わりません。本音が感じ取れないことで、お互いに不信感を覚えたり、誤解を招くことは良くあります。さらに霊的な波長はその人の”感じ方”を司ります。人の考え方は自分で意識することで変えて行くことができますし、時間の経過とともに変化していくものです。皆さんが自分の10年前や20年前を振り返っても、多くの方は考え方が変化してことに気が付くと思います。

 

ただし、人の感じ方は、なかなか変わりません。たとえば味覚を考えた時に子供の頃に苦手だった食べ物は、多くの場合、大人になってからも苦手なままです。そして自分が苦手な食べ物は、他人からどれだけおいしいと言われても、健康に良いと説明されても、食べたいとは思いません。同じ食べ物でもとても大好きな人と、絶対に食べれない人がいます。この大きな相違は時間が経過しても埋められません。感じ方の違いとはそれだけ大きな隔たりを生み出すのです。ですから、霊的な波長が離れている人とは、本音で分かり合うことは出来ません。

 

あとは前世の影響によって決して上手くやっていけない関係の人もいます。以前、職場の上司からひどいハラスメントを受けて、心身がボロボロになった人がいました。その方は何とか良い関係を作ろうとして、相当に努力をしたのですが、上司のいじめは一向に改善されませんでした。そしてどうして自分がこのようなひどい扱いをされるのか、その原因を知りたくて私に相談してきたのです。私はこの方が無意識のうちに上司を傷つけたり、嫌われる言動を取っていたのではないかと考えて霊視をしました。しかし、私が見る限り、そのような事実は一度もありませんでした。つまり、ハラスメントを受ける理由は何もないのに、ひどいハラスメントを受けてきたのです。

 

私はふと思って目線を現世から過去世へ向けてみました。現世では分からない原因が過去世にあることは時々あります。すると何代か前の古い過去世の中で、この二人は敵同士として戦っていました。ある時は相談者が上司を殺していました。そしてその因縁によって生まれ代わっても二人は再び出会い、また戦っています。そして今度は上司が相談者を殺していました。そのようなことを過去世で何代にもわたって続けてきた二人が、今世では上司と部下として出会ってしまったのです。私は相談者に話しました。

「申し訳ありませんが、この上司とあなたの関係はどうやっても良くなりません。それどころか上司はおそらくあなたが倒れても部下である限り、どこまでもあなたを攻撃してきます。この状況は生涯改善することはありません。率直に言いますが、転職してください。そしてこの上司との関係は明確に断つことが必要です。会社を辞めても絶対に関わりを持ってはいけません」

私の言葉を聞いてこの方は尋ねました。

「何で上司はそこまで私を攻撃してくるのですか?」

私はきっぱりと答えました。

「もしそれを上司に尋ねたとしても、明確な理由は答えないでしょう。なぜならそこに理由はないからです。上司はきっと訳もなくあなたが憎くて仕方がないと思っているでしょう。上司は過去世からつながる強い因縁因果によって、自分でも理由が分からないままに突き動かされているのです」

 

ここまでひどいケースでは、会社を辞めて上司との関係を絶たないと、上司はどこまでもこの方を攻撃してきます。会社を辞めてもこの方の人生が上手く行かないように、執拗に足を引っ張り続けてきます。ここまでひどくなくても、どうやっても良い関係が作れない人はいます。その場合は、仕事上必要な最低限のコミュニケーションだけを取って、距離を置いてやり過ごしていくしかないのです。