私はこの先輩女性社員が、どういう人間なのかを霊視して見ました。その結果、この方は一言で言えばとても”承認欲求の強い方”です。だから上司の前では良い先輩社員を演じて、上司に認めてもらおうとします。そして後輩の前では、先輩の権威を見せつけて、自分を認めさせようと振舞うのです。ただし、本来は気の小さい女性で、本質的には悪人ではありません。性格的にもひどく歪んでいるわけではありません。ですから相談者が上手く対応していけば、先輩の行動を変えて行くことはできると考えました。

 

私は相談者に今まで先輩社員にどのように接してきたのかを尋ねました。すると私が感じた通り、彼女の対応も決して良いものではありませんでした。毎日のように先輩からいびられたり、叱られてばかりでは、先輩の顔を見れば目をそむけたくなる気持ちは分かります。先輩が近くに来れば、身構えてしまいますし、表情も明るくなるはずはありません。ですから相談者は先輩が来れば、目をそらして、うつむいて、ブスッとしかめっ面をしながら、先輩に接していたのです。承認欲求の強い気の小さな人に対して、彼女を完全に否定する態度を取っているのですから、先輩が相談者に好意的に接してくるわけがないのです。先輩からすれば、相談者は自分を否定する生意気な後輩と映ってしまうのですから。だから先輩の権威を見せつけて、自分に屈服させようとして、益々高圧的になっていくのです。ですから私は相談者に話しました。

「あなたの先輩に対する接し方はある意味当然のことだと思います。気持ちは分かります。でもそういった対応は先輩と上手くやっていこうとするなら完全に逆効果です。もし、自分で不本意だと思っても、先輩のためではなく、自分が楽になるために、先輩に対する対応を改めてください。先輩は承認欲求が強い人ですから、会社からも上司からも後輩からも自分を認めてもらいたいのです。ですから先輩が話し始めたら、時々、相槌を打ったり、先輩の言葉を声に出して反芻してください。そして大きくうなずいてください。あとは時々で構いませんから、こちらから先輩に話しかけてほしいのです。”先輩、この前いただいたアドバイスの通りにお客様に接したら、すごく喜んでいただいて、高額商品を購入していただきました。先輩のおかげです。ありがとうございました”と。そしてその言葉を笑顔で伝えるのです。その言葉を聞いた先輩は、自分を認めて感謝の言葉を伝えらたのですから、きっとうれしく思うはずです。承認欲求の強い人にとって、自分を認めてくれる人の存在はとても貴重なのです。自分にとって大切な存在になれば、誰でもその人を大事にします。ですから先輩はもう、自分に屈服させるためにあなたに先輩の権威を見せつける必要は無くなります。その結果、あなたに対する対応は劇的に良くなっていくのです」

相談者は私の話をうなずきながら聞いています。

「きっと1か月もすれば、逆にあなたを大切にするようになるのではないでしょうか。先輩からみれば、あなたは自分を認めてくれる数少ない味方になるのですから」

 

相談者は私のアドバイスにしたがって先輩に対する対応を大きく変えました。その結果、最初の1週間ぐらいは逆に警戒されただけで、先輩の態度は何の変化もありませんでした。ただ、それでも先輩を常に認めるように意識して、こちらから言葉を発するようにしているうちに、先輩の態度は目に見えて良くなってきました。そして今では、先輩に誘われて一緒に昼食を取ることもあるようになりました。ここまでくればもう、先輩が理不尽に嫌味を言ってくることはありません。相談者はまずは自分の行動を変えることで相手の行動を変えることに成功したのです。(3)へ続く。