私に体調不良で相談される方の中は、病院でさまざまな検査を受けたもののまったく原因が分からないという方がしばしばいます。体の具合が悪くなる時、普通は医者に診てもらいます。ですから私のような人間に体調不良の相談に来るケースでは原因が不明で霊的なものの影響を疑っている方が多いのです。

 

私は人間の身体は肉体と精神的な身体(=アストラル体)と霊的な身体(=エーテル体)が三位一体となってくっついていると考えています。これら3つの身体はお互いにリンクし合っていて影響を与え合っています。ですから体調が悪い時に肉体の検査をしても原因が分からない場合、アストラル体やエーテル体に原因があることがほとんどなのです。精神的に強いプレッシャーが続いたために胃の具合を悪くしてしまうのは、プレッシャーによってアストラル体が傷ついた影響が肉体に出ていることになります。霊の憑依によってうつ状態に追い込まれてしまうのは、霊によってエーテル体が傷ついたことで、その影響がアストラル体に出ていることになります。ただ、まれに体調不良の原因が、これら3つの身体とは別のところにあることもあります。その一例が「ミュンヒハウンゼン症候群」です。

 

以前、もう20年も前から定期的に私に相談している方から、お孫さんが原因不明で体調を崩していると連絡が入りました。その方によると、お孫さんはひどい下痢や吐き気によって救急車を呼んで1週間の入院をしました。その他にも頭がクラクラして倒れたり、身体を痙攣させたこともあって、もう何回も救急搬送されているのです。幸い長くても半月ぐらいの入院で退院できているものの、検査をしても明確な原因が不明で、将来に大きな不安を抱えているのです。

 

私は肉体に明確な原因がない以上、アストラル体かエーテル体に何か問題があるのではないかと思い、詳細に霊視をしてみました。しかし、どれだけ確認しても肉体以外の2つの身体に原因は見つかりませんでした。ただ、霊視をする中で、お母さんが娘さんの食べ物に何か食材以外のものを混ぜている光景が浮かびました。ただ、母親が娘の食事に毒を盛っているとなれば、これは明確な犯罪です。私は言葉を選びながら相談者のお祖母さんに尋ねました。

「お孫さんが原因不明で度々救急搬送されているようでは、娘さんもさぞかし心配なさっているのではありませんか。娘さんの状態はいかがですか?」

お祖母さんは私の言葉に顔を曇らせながら答えました。

「はい、娘は入院中もほとんど孫に付きっ切りです。心配で夜も眠れないようで、いつも目を充血させています。看護師さんも娘を心配するほど献身的に孫の看病をしています」

私はこの答えを聞いて状況がはっきりと飲み込めました。”娘さんは代理ミュンヒハウンゼン症候群を患っている”そう確信したのです。この病気は、子供や老人など看病や介護を受けている人が、人為的に傷つけられる凄惨な事件をしばしば引き起こします。

 

まず、代理の付かない「ミュンヒハウンゼン症候群」ですが、これはとても厄介な精神疾患です。たとえば周囲の人から

「あなたは病気なのに落ち込まないで本当によく頑張っているね」

と、こう誉められることで強く自己満足してしまう人がいます。その心地良さが忘れられなくて、ついには病気を装ったり、自分で体を傷つけたりして、周囲の人の同情や関心を買おうとするのです。そして周りから誉めてもらうために、怪我や病気に負けない頑張り屋の自分を演じていくのです。

 

そしてここに”代理”が付いた「代理ミュンヒハウンゼン症候群」は、関心を向けさせるために傷つける対象が自分ではなくて他人になります。たとえば自分の子供とか介護しているお婆さんとか、その対象者に怪我を負わせたり、毒を盛ったりして体調不良にさせます。そして苦しんでいる子供を懸命に看病している優しい母親を演じることで、周りの人の関心を自分に向けさせようとするのです。

「お子さん、病気で大変でしょう。でも、毎日病院へ通って看病して、家事もこなしてあなたって本当に偉いわね」

周囲からそう言ってもらうために、我が子を傷つけていくのです。これが「代理ミュンヒハウンゼン症候群」です。したがって過去には数々の悲惨な事件がこの病気によって引き起こされたのです。(2)へ続く。