1943年10月28日にアメリカ海軍が行った「フィラデルフィア計画」と呼ばれた実験があります。当時は太平洋戦争の渦中にありましたから、強力な武器を持つことは軍にとって急務です。アメリカ軍はこの時点で「レーダー探知」を実用化していました。敵航空機や艦船の位置を正確に知ることは、戦いを有利に進める上でとても重要です。この時点で日本軍ではまだレーダーは実用化されていませんでしたが、米軍は日本軍でもいずれレーダー探知が行われることを想定して、その対応を考えていました。

 

現在の軍隊でも“ステルス機能”を供えた航空機や艦船・戦車などが作られています。ステルスとは、こちらの兵器が敵のレーダー等のセンサー類に発見されにくくする技術です。こちらの兵器がどこにあるのか、敵から見えないようにすることができれば、敵から攻撃を受ける心配はありません。それは戦いを有利に進めることにつながります。

 

当時のレーダーは船体から発する磁気に反応して、相手の居場所を特定します。そこでアメリカ海軍は、二コラ・テスラという電気技師が開発した高周波・高電圧を発生させる変圧器(テスラコイル)によって、船体の磁気を消滅させれば、レーダーには映らなくなると考えたのです。そしてこの日、アメリカ海軍は、ペンシルベニア州フィラデルフィア沖の海上で駆逐艦「エルドリッジ」に船員を乗せたまま初の実験を行いました。船内には数々の電気実験機器が載せられました。そして実験開始と共に強力な磁場がエルドリッジを包みました。するとそれまでレーダーに映っていたエルドリッジが突然、レーダーから消えたのです。それを見ていた関係者から歓声が沸き上がり、実験は成功したように思われました。しかし、実験開始と共に海面から緑色の光が沸き上がりました。そして緑色の光がエルドリッジを包み込んだ瞬間、船体は浮かび上がり、エルドリッジは次第にぼやけていきました。そしてついには海上から完全に姿を消したのです。

 

物理的にフィラデルフィア沖から消えてしまったエルドリッジは、やがて2500キロ以上も離れたバージニア州ノーフォークに現れました。まさに瞬間移動したのでした。それから数分後に再び緑色の光に包まれたエルドリッジは、元の場所まで戻ってきたのです。

 

しかしこの時、船内は悲惨な状況になっていました。乗員の証言によると、「体が突然燃え上がった」とか、「体が溶けた」とか、「体が鉄製の船体にめり込んだ」とか、「体の半身だけ透明になった」とか「体が凍りついてしまった」等、異常現象が数多く発生していたのです。唯一、影響を受けなかったのは、分厚い鋼鉄製の隔壁の中にいた機械室の乗員だけでした。結果的にこの実験によって死者・行方不明者は16名・発狂した乗員が6名と報告されたのです。この悲惨な結果に驚いた海軍上層部は、この実験を隠蔽することにしたのです。

 

これが1956年になって、ある乗員が「モーリス・ケッチャム・ジェサップ」という作家にこの実験を密告する手紙を送ったことで、一部の人たちにフィラデルフィア計画は知られることになりました。事の真相は今でもわからず、都市伝説だという人もいます。しかし、モーリスは1959年に車の中に排気ガスのホースを引き込んで謎の死を遂げています。この死はアメリカ海軍による“口封じ”ではないかと言う人もまたいるのです。もし、フィラデルフィア計画が事実であれば、人や物が物理的に消えることもあるということになります。

 

ただ、私の相談者が目にした“人が消える現象”については、私は相談者が見た人はそもそも生きている人間ではなく、霊だったのではないかと考えています。霊感の鋭い人が霊を見ることはしばしばあります。その時の見え方も、波長が近くてしっかりと同調することができた時は、生きている人間と何ら遜色がないくらいにはっきりと見えるのです。私も街を歩いていて、人にぶつかったと思た瞬間に、その人が私の体をすり抜けたことが何度もあります。霊は瞬間移動することができますから、もし人ではなくて霊を見ていたとすれば、一瞬、目を離した瞬間にいなくなったとしても何ら不思議なことではないのです。