先日、私に相談した方は、
「過去に目の前で人が何人も消えたことがある」
と話していました。そしてつい最近も目の前にいた人が一瞬、目を離したすきに消えてしまったというのです。そこで私に
「そんなことが本当に起こるのかどうか教えてほしい」
と言って相談に来たのです。
この方によると住宅街の路地を歩いているときに、自分の5mぐらい前を同じ方向へ向かって歩いているスーツを着た男性が目に入りました。目の前わずか5mですから、見間違えることはありません。その男性はそれからしばらくすると、その通りから左手から伸びている小道を左折しました。そのわずか3秒後ぐらいにこの方は、その小道を通過しました。そのとき何気なく左手の小道をのぞき込むと、そこには誰の姿もありません。驚いて立ち止まった後、この男性は小道の中に入って前方や周囲を見回しました。しかし、小道の右側には大きな家の高い塀が何メートルも続いています。そして小道の左側は広い空き地になっていますから、遠くまで見渡せます。小道を曲がってわずか3秒では、もしスーツを着た男性がいきなり走りだしたとしても、まだ、視界の範囲にいるはずです。しかし、前を歩いていた男性の姿は忽然と消えていたのです。
この男性によると過去に同じようなことは何度もあったというのです。映画館で自分より2列前の斜めに女性が座っていました。上映が始まりましたから、彼女が立ち上がったり目の前で席を移動すれば気が付かないわけはありません。しかし、凝視していたスクリーンから何気なく目をそらすと、その女性はいなくなっていました。驚いて周囲を見回しましたが、誰もが何事もなかったように映画に見入っているだけでした。
他にも、自分の前を走る車の後部座席に小さい子供が後ろを向いて座っています。そして自分の方を向いて手を振ってきたのでこちらも子供に笑顔を返しました。しかし、ふと気が付くとさっきまで手を振っていた子供が後部座席に現れません。時間が経っても現れないので最初は後部座席のシートで“寝たのだろう”と思いました。それでも不思議に思ったので、道が2車線になって信号で止まった時に、ゆっくりと前の車の真横に自分の車を付けました。そして身を乗り出して隣の車の車内を確認しましたが、中年の男性が一人で運転席に座っているだけでした。助手席にも後部座席にも誰一人見つけることは出来ませんでした。
さらに新幹線に乗車して自分の指定席に着くときに何気なく自分の前の座席を確認しました。見るとショートヘアーの女性が、窓の外を眺めながら座っています。その女性はシートを大きく倒していたので、少し不快に思ったことを覚えています。やがて次の駅の到着のアナウンスが車内に流れました。本を読んでいたこの方は、目線を上げて何気なく前を眺めました。しかし、目の前に座っているはずの女性は消えていました。立ち上がって通路に出たのならそれに気づかないはずはありません。誰もいない前のシートは大きく倒れたままになっていました。
こういったことが何度も続くとさすがに不安が広がります。人や物が突然消えるというのは物理的にはあり得ないように思えます。しかし、霊的な原因以外にも人や物が消えたとされる出来事は起こっているのです。(2)へ続く。