以前、ある地方都市のお寺の住職に頼まれて、お寺の中にあるお墓を見に行きました。私は死んで肉体の亡くなった魂が、お墓の中やカロートや骨壺に入り、そこにずっととどまっているとは思っていません。なぜなら私は、“魂は輪廻転生している“と考えているからです。
たとえばわずか6歳の子供が、知るはずのない50年前に起こった出来事を詳細に画用紙に描いていたことがあります。また、幼稚園児や小学校低学年の児童が、50年前の歴史を突然詳しく喋りだして大人を唖然とさせたこともあります。こういった出来事は科学的な論理をこじつけて説明するよりも、単純にこの子供が過去のその時代に生きていたと考える方がはるかに合理的だと思うのです。
そして魂が輪廻転生しているのなら、亡くなった後も、その魂がお墓や仏壇などの現世にとどまり続けている道理はありません。亡くなった後、しばらくは現世にとどまり、自分の家やお墓にいるとしても、いずれはあの世へ上がって輪廻転生の準備に入らなければならないのです。私はそれが魂の定めであり、自然の摂理だと思っています。
そこで私が案内されたお墓ですが、今まで見たこともないひどい状態になっていました。まず、驚いたのがお墓の顔である棹石の部分に、雷でも落ちたような大きなひび割れが入っているのです。家の名前の刻まれた正面に、右上から左下へ向けて、斜めにギザギザの割れ目が走っています。次に棹石の下に目をやると上台と言われる棹石の土台部分とお線香を備える香炉にも大きなひび割れが入っています。そして墓石の御影石は全体的に黒く汚れたようにすすけています。そして所々で色が変色したように白いまだら模様になっています。
もう10数年前ですが、私は今回と同じようにお寺に頼まれて、お墓の浄化をしたことがあります。そのことは一度、このブログでも紹介した記憶があります。その時のお墓は、白い御影石が緑色に変色していました。住職から
「お墓参りに来る人が皆さん、気持ち悪いというので何とかしてほしい」
と頼まれて、墓石の前で2時間ぐらいのマントラを唱えて浄化をしました。するとドロドロに濁った緑色の墓石が、少し汚れた薄茶色ぐらいに見る見る変化したのです。そのときはこのお墓に入っている女性の執着が強くて、それが原因でその魂はあの世へ上がれなくなっていました。そこでその魂を浄化したところ、墓石は正常な状態に戻りました。
今回は墓石にヒビを入れるぐらいですから、相当に強い力が作用しています。まずは状況を霊視したところ、いろいろな景色が浮かんできました。このお墓は前回のケースとは違っていて、中に入っている方に問題はありません。棹石に刻まれた家の名前を真っ二つに割っていることからも分かる通り、この家を恨む複数の魂の仕業です。古い時代にこの家の人たちに滅ぼされて、女子供も含めて皆殺しに遭った一族がこの家を末代までも祟っています。実際、このお墓の持ち主の親族には、事故死や自殺者が何人も出ています。また、生きていても、精神をおかしくしたり、事件を起こして犯罪者となったり、家の財産を蕩尽しつくした人が出ています。祟っている不浄霊は、自分たちと同じようにこの一族が苦しんですべて全滅するまで祟り続けると息巻いています。そして自分たちの力を見せつけるために、墓石を破壊したのです。
ここまで因縁が深く、強いものになると、お墓の前で2時間ぐらいマントラを唱えただけでは、その影響を祓い切ることは出来ません。私は怒れる不浄霊たちを供養するマントラを唱えたあと、一旦帰宅して、改めに準備をして21日間の浄霊を行いました。そしてこの不浄霊をすべてあの世へ上げて成仏させました。そして新しく作られた墓石には現時点まで何ら怪異は起こっていないということです。