「nervous」という単語は皆さんもよくご存じだと思います。普通は「神経質」とか「緊張して上がっている状態」などを言い表します。そのまま日本語として「ナーバス」と言う時もあります。似たような意味で「tense」という英単語があります。普通は「緊張した」とか「固くなる」「ピリピリしている」と訳されます。You’ve seemed tense lately.(最近、ピリピリしているみたいだね)と、こんな感じで遣われます。ピリピリしている人が近くにいると、その緊張感がこちらまで伝わってくることがあります。これは皆さんも経験したことがあると思います。

 

東京大学とアメリカのカリフォルニア工科大学の共同研究チームが、2019年におもしろい研究結果を発表しています。それによると人間には五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)以外にも、磁気を感じる能力(=磁覚)が備わっているというのです。磁気を感じとる能力は、渡り鳥やミツバチなどたくさんの生物が持っています。太古の時代の人間にも、今よりももって明確に磁覚はあったと考えられています。しかし、狩猟時代が終わり、磁覚によって方向を感じ取る必要が無くなってから、この感覚は退化してしまったのです。

 

しかし、ピリピリしている人がそばにいるときの嫌な緊張感や、ウキウキしている人が近くにいるときの楽しい高揚感はそれほど感覚の研ぎ澄まされていない人でも何となく伝わるものです。私はこのブログの中で人の思いは相手に伝わるものだと何度も書いてきました。この研究チームは”この思いの実態は、磁気にある”と考えたのです。この研究結果の中で、“人間は誰でも磁気を発していて、それを受信する能力を持っている”と述べられているのです。

 

皆さんは学生時代に”音叉“を使った実験をしたことはないでしょうか。同じ周波数を持った音叉を2つ用意します。一つの音叉を鳴らして、そこに音を鳴らしていないもう一つの音叉を近づけます。すると共鳴現象が起こって、音の鳴っていなかった音叉も音が鳴りだすのです。

 

これと同じことが人間同士の間でも磁気を介して行われています。ピリピリして不機嫌な磁気を出している人に近づけば、その磁気に反応して自分の気持ちもピリピリした不機嫌な状態になります。ですから相手から出ている嫌な磁気を感じた時には、その人には近寄らないとか、その磁気に影響されないように自分の気持ちを強く持って過ごすことが必要です。

 

それは逆に考えると、明るく前向きに過ごしている人に近づくなら、そのポジティブな磁気に反応して、自分自身の気持ちも明るくなります。さらに言うなら、自分の気持ちを常に明るく前向きな状態に保つことができるなら、自分の発する磁気によって自分の周囲の人たちを明るく前向きな気持ちに変えていくこともできるのです。

 

つまり、あなたが周囲の人間関係に不満や苛立ちを感じているとき、もしかしたらそれはあなた自身を含めて、お互いにネガティブな磁気を出し合っている結果なのかもしれないのです。まずは自分から率先して周囲に良い磁気を発信してみてください。その結果、あなたを取り巻く周囲の状況が劇的に好転する可能性もあるのです。