先日依頼された女性からの相談はスマートフォンに関するものでした。その方によると半年ぐらい前から、スマホに非通知で電話がかかってきたり、電話に出ても切れてしまうことが時々起こるようになりました。気持ち悪いと思いましたが、特にそれ以上、何かをされるわけではありません。そのためあまり気にしないようにして無視を続けていたのです。
彼女が具体的に対策を取らなかったのには理由がありました。実はちょうどその頃に、この方は、職場の上司と肉体関係を持ってしまいました。居酒屋で行われた職場の慰労会に参加した後、二次会、三次会とお酒を飲んでいるうちに、最後には上司と二人だけになってしまいました。そしてそのあと、お酒の勢いも手伝ってホテルへ行ってしまったのです。彼女によると、元々あこがれていた大好きな上司だったので、肉体関係を持ったことに後悔はありません。それから上司からは会社帰りに度々、お酒の誘いを受けるようになりました。そして二人でお酒を飲んだ後は、毎回のようにホテルで肉体関係を結んでいたのです。
ただ、問題なのは彼女は独身でしたが、上司には妻子がいました。そして気が付けば、もう半年も不倫関係は続いていました。スマホにおかしな電話がかかって来るようになったのは、上司と関係を持った時期とほぼ一緒でした。したがって彼女の中では上司の奥さんが不倫関係に気づいて嫌がらせをしてきたのではないかと思いました。また、自分自身その後ろめたさもあって、この電話に積極的に対応を取らずにいたのです。
しかし、最近になっておかしな電話の内容が変わってきました。今まではいわゆる“ワン切り”や“無言電話”が続いていたのですが、今は電話が鳴ると、スマホの画面に“通知不可能”と表示されるというのです。非通知の表示は普通にありますが、通知不可能というのはあまり見かけません。調べてみると通知不可能というのは、通信会社や回線の制約によって電話番号を通知できない時に表示されます。具体的には国際電話やSkypeなどのIP電話からの着信の際に表示されるということです。しかし、上司に何気なく話を聞いたところ、奥さんは機械音痴でスマホもほとんど使いこなせていません。IP電話を使うことは機能を知らない奥さんにはできません。また、海外旅行へ出かけることも、もう何十年もないのです。また、上司に確認したところ、無言電話がかかってきた時間帯は、上司は家にいて家族で食卓を囲んでいる時間と一致していたのです。これらのことを考えると、彼女のスマホに“通知不可能”で嫌がらせ電話をかけているのは奥さんではないことになります。そう思った時、心の中に不安と大きく広がりました。そこで私に相談してきたのです。
私は彼女に尋ねました。
「あなたのスマホは呼び出し音が何回か鳴った後で、自動的に留守番電話や伝言サービスなどに切り替えることはできませんか?」
彼女はすぐに答えました。
「今でもそのように設定していますが、普段は留守電に切り替わる前に私が電話を取ってしまいます」
私は少し考えた後、彼女に話しました。
「分かりました。それでは今度は呼び出し音が鳴ってもしばらくは電話を取らずに、自動的に留守番電話に切り替わるようにしてください。そして留守番電話は1分以上は録音できるようにしてください。その間、相手がずっと無言でも良いので、録音したメッセージは、あとで必ずチェックしてください。そして何かおかしなメッセージが入っていれば、それは保存して後で私に聞かせてください」
私には確認したいことがいくつかありました。(2)へ続く。