先日、知り合いの病院の経営者から相談を受けました。その方の知り合いで病院を経営している方が、“霊的な問題でとても困っているので私に相談に乗ってもらいたい”というのです。私はまずは、

「具体的にどのような問題が起こっているのか、問題の内容によっては私ではお役に立てないこともありますので、相談の内容を教えてほしい」

と伝えました。すると2~3日してご本人から私に連絡が入りました。私の経験からすると、“病院で起こっている霊的な問題”と聞いただけで良いイメージは浮かんできません。それだけで、軽い問題でないことは容易に想像がつきます。私は院長と話をしながら、すぐに現場の病院へうかがう日時を決めました。

 

現場に着くと、そこは病床数が300床ほどの中規模な病院でした。私は病院では何度となく怖い思いも嫌な思いをしてきました。それは今までこのブログの中でも紹介した通りです。したがって本音を言えば、今回の仕事はまったく気が進みません。ただ、知り合いの方の紹介ですし、ご本人も相当に困っていましたので、覚悟を決めてその病院へ入りました。

 

聴けば、この病院では深夜に誰もいない部屋からナースコールが鳴ったり、置いてあるものの位置が変わっているなど、おかしな現象が日常的に起こっていました。院長は、病院のスタッフ対して、

「そういうことが起こったとしても、患者さんが不安に思うので口外しないように」

と口止めをしていました。ただ、入院患者やお見舞いの方からも、「幽霊を見た」という目撃談はしばしば寄せられました。スタッフには口止めができても、患者さんの口に戸は立てられません。そのため近所では幽霊病院と噂されてしまったため、何度も僧侶や神職を呼んでお祓いをしているのです。それでも幽霊の目撃談は収まりませんでした。そこで人づてに私に相談することになったのです。

 

私は、幽霊の目撃談について、院長に詳しく話をうかがいました。するとそのほとんどは、4階と5階のナースセンターから病室が並ぶ東側の廊下で目撃されているのです。そこで私は院長と話をした後、すぐに現場の廊下へ向かいました。

 

私はその廊下をゆっくりと歩きながら、廊下に残っている霊の気配を探りました。

「確かにこの廊下には不浄霊の気配を感じます。この廊下を歩いていると、入院患者の部屋着を着ている霊が、この廊下を何度も行き来している様子が頭に浮かんできます。ただ、心霊スポットのように何十体、何百体という不浄霊がこの病院に溜まっている感じはしません。霊道が廊下を通っていれば、この廊下を歩き回る不浄霊は次から次にやってきます。しかし、この病院、全体を見ても霊道は通っていません。つまり、私が最初に思ったほど、数多くの不浄霊が溜まるような状況ではないのです。

私は自分が感じたことを率直に院長に話しました。すると院長は怪訝そうに、

「それではどうして、この廊下で頻繁に霊の目撃談が寄せられるのでしょうか。入院している患者さんもうちのスタッフも今までに何人も目撃しています。それが怖くて、看護師は夜勤に就きたがりませんし、辞めていくスタッフまでいるのです。病院としては、地域に悪い評判がまき散らされるのも困りますし、スタッフを集められない状況も困りまるのです」

院長はそういってうつむいてしまいました。

 

私もまさにそのことが気になりました。そこでしばらくの間、4階と5階の廊下を何度も歩きながら、この廊下に残る霊の痕跡を辿りました。霊は一体どこへ向かっているのか、そしていったい何体ぐらいの不浄霊がこの廊下を歩いているのか、そこをはっきりさせたかったのです。それが分かれば、この病院で起こっていることの原因が特定できます。原因が明確になればそれに対処する方法もまた明確になると思ったのです。

 

私は間隔を開けて丸2日間、この病院の廊下に通いました。そして時間を替えて実際に廊下を歩いて確認しました。その結果、最初は思いもしなかったことがはっきりとわかりました。(2)へ続く。