先日、「実家に帰ると体全体が重たくなったり、右側の肩や肘に激痛が走る」という方から相談を受けました。もちろん病院へは何か所も通って、最新の検査も受けています。それでも原因は見つかりませんでした。そういったことは実家に住んでいた時も含めて、以前はまったくありませんでした。実家に帰ると体調が悪くなると感じたのは、ここ10年ぐらいのことです。

 

この方のご実家は兵庫県神戸市内にあります。1995年1月17日に発生した「阪神・淡路大震災」では、6434人もの人命が失われました。この方のご実家は被害の大きなエリアの中にあります。この方のご実家も震災で倒壊したものの、幸いご家族に命を亡くされた方はいませんでした。ただ、近所に住む知り合いや友人の中には、亡くなられた方が何人かいたのです。

 

私はこの方の相談を聞いている時点で、頭の中には倒壊した家屋や火災が延焼している町の様子が頭に浮かびました。そして町のあちこちから、家がつぶれて身動きの取れなくなった方の助けを求める叫び声が響きました。この状況を見れば、この方の体調不良に「阪神・淡路大震災」が、関わっていることは明らかでした。私はこの方に、実家に戻られた時に、どのように行動しているのかを尋ねました。その結果、命を亡くされたお友達の家の跡地へ花を供えたり、お墓参りにも行っていることをうかがいました。そして、亡くなった方の多い町内では、手を合わせて心の中では成仏を祈りながら、歩いていると話していました。

 

私はこの話を聞いて状況が見えてきました。亡くなられたお友達の成仏を願って手を合わせたり、花を手向けることは人として何ら間違ってはいません。ただし、犠牲者が何千人も出ているような災害現場で、命を落とした方の思いを強く受け止めることは、霊的な意味では非常に危険なのです。事件や事故、災害で命を落とした方は、死ぬ準備ができないままに、突然亡くなってます。そういう亡くなり方をすると、死んだ後、生に執着することが非常に多いのです。そして、生に執着している魂の悲しみや無念さに共感すると、その魂と同調しやすくなります。

 

霊と憑依するのかどうかは、基本的には霊の持つ霊的波長と自分の霊的波長が合うのかどうかで決まります。ただ、自分の霊的波長の周囲には枠(=霊的な間口)があります。この間口の枠に入る波長であれば、同調することができますから憑依を受ける可能性があります。この枠の中心に近い波長を持つ霊は、どのようにしても同調してきます。ただし、枠の外側に近い波長のものは、自分の意識や気持ちの在りようによってブロックすることもできます。現世にとどまっている魂(霊)の思いを受け止めるとか共感することは、波長がこの枠内の霊がいれば、自ら同調するように手招きをしているようなものなのです。その結果、この方は実家に帰るたびに、家の周辺に無念の思いを抱えてとどまっている不浄霊の憑依を受けています。そしてそのたびに肉体は反応して、身体に痛みが出ているのです。

 

この方の全身が重たいとか、身体の右側の肩や肘が痛むというのは、憑依している霊の亡くなった時の状態を示しています。家屋が倒壊して天井や壁や家財道具に体をつぶされたとすれば全身が重いと感じます。右半身に物が落ちてきて怪我を負えば、憑依されたことで自分の右半身に痛みが走ります。この方は実家に戻るたびに、自分でも気づかないうちに、家の周囲で亡くなり、成仏できていない霊を呼び込んでしまい、原因不明の体調不良に陥っていたのでした。(2)へ続く。