私は添付した地図や画像を示しながら、お祖父さんがご自宅を出て、今留まっていると思われる場所に向かった経路を説明しました。そして広大な河川敷の中の1か所を取り上げて、おそらくこの辺りに倒れていることを説明しました。私の頭には、小川から広がった泥水の中に、葦の木々に囲まれてお祖父さんが倒れている様子が、はっきりと浮かんだのです。
依頼者の方は私からの連絡を受けると、年明け早々に捜索メンバーを募って、私の示した河川敷の一帯を探しました。そして私が指定したすぐ近くの場所で、私が見た通りに、葦に囲まれた泥水の中に倒れているお祖父さんのご遺体を見つけたのです。残念ながらお祖父さんを生きて救出することは出来ませんでした。でも、寒風吹きすさぶ真冬の河川敷に、泥水に浸かったままでは、あまりにもかわいそうです。そこから助け出すことができたのはせめてもの救いでした。
冬の寒さと言うと、真冬の浄霊もしばしば寒さに震えながら行います。私が浄霊をするときによく借りるお寺のお堂が埼玉県にあります。ここは木造で建てられていますので、もちろんドアを閉じて窓も閉めていいますが、どうしても隙間風が入り込んでしまいます。ストーブも焚いていますが、深夜や明け方の寒さはストーブの前を離れると、ひしひしと体に突き刺ささります。
浄霊は通常は4人1組で行います。浄霊のマントラを唱えているときに何か霊障などのトラブルを受けることがあります。したがってマントラは二人で唱えます。そしてもう一人はお堂の中で待機していて、何かトラブルがあれば参入します。そして、残りの一人は別室で完全に休息するというローテーションを組みます。この形で休息を挟みながら行っているうちは良いのですが、何かのトラブルが発生して、4人のメンバーが3人や2人になってしまうことが時々起こります。そうなると休みの取れない中で、1日中、マントラを唱え続けることになりますので、半日もすると喉がつぶれて声が出なくなります。除霊でも浄霊でもマントラを唱えるときの周波数(=声のトーン)がポイントになります。ですから、声が出なければ無理やりにでも絞り出してマントラを唱え続けます。ここに氷点下の寒さが加わると本当に辛い状態になります。私も他のメンバーもマントラを唱えているのですが、気が付くと寒さと疲労で上の歯と下の歯がガチガチ当たりながら声を出しているのです。
思えば12月は毎年、寒い思いをしながら仕事をしているのですが、何か今年の寒さはいつになく厳しいように感じます。やはりコロナの影響が、世界全体に暗くのしかかっているように感じます。今、このブログを書いている時点で、我が国の累計感染者数は、19万3811人、お亡くなりになられた方は、2840人です。これを世界で見ると累計感染者数7285万1747人、死者は164万3339になります。これだけの人たちが病に苦しみ、命を落としているとすれば、その人たちが訴えている苦しみや無念の思いは、長くその場所に滞留してそれを感じられる人に働きかけてきます。暗くて冷たくて重たい空気です。私は阪神大震災のあとも、東日本大震災のあとも、現地へ入って手を合わせてきました。その時に感じたむなしくて、絶望したさめざめとした空気感は独特なものでした。生涯忘れられません。今年、例年のように寒い12月を過ごしながら、それでも例年にない悲しみや寂しさを感じてしまうのは、コロナは決して無関係ではないと思います。私たちが一日も早くこの不安を乗り越えて、明るい未来に期待を寄せることのできる春の日が訪れることを願わずにはいられません。