このような確執はこの件に限ったことではありません。今回のように前世からの因縁因果を引きずるケースもあります。他にも霊的な波長の乖離によって確執が深まることもあります。霊的な波長は各人それぞれで指紋のように異なります。そして波長はその人の感じ方を司ります。つまり波長が離れていれば、親子でも兄弟でも親族でも、感じ方が異なることになります。人の考え方はより強く意識していくことで変えることができますが、感じ方は変えることができません。感じ方が異なる人とは、本質的に上手くやっていくことはできないのです。

 

ですから人には上手く付き合っていける人といけない人がおのずといることになります。学生時代であれば、気の合わない生徒とは、同じクラスであっても口をきかなければ良いし、目を合わせる必要もありません。ただ、同じ家に住む家族では、そうは行きません。因縁因果を抱えていたり、波長が離れて根本的に協調できない人間同士が、家族という名のもとに一つ屋根の下で一緒に生活することを強いられているのです。会社でも上司と部下、或いは同僚という名のものとに、毎日顔を突き合わせて仕事をしています。

 

上手く付き合えない人と、これ以上関係を悪くしないで、波風立てずに付き合っていくためには、お互いの関係に距離を置いていくしかありません。必要最小限のコミュニケーションを図り、できるだけ接触する機会を減らすことです。距離が近くなるほど、ぶつかるケースが増えてきます。そしてぶつかればお互いに感じ方が離れていますから、折り合いを付けることはできません。その結果、二人の間の溝はさらに深くなって修復不可能なところまで人間関係を壊してしまうのです。

 

ですから本質的に協調できない二人が一つ屋根の下で生活している家族は、悪くすると他人以上に確執が深くなることがあります。社内の人間関係も同じです。上手くやっていくことが根本的に不可能な関係の社員が同じ部署で働いていれば、いずれはぶつかって確執を広げることになります。

 

私は家族の確執で言うなら、ひどい関係の親子を何人も見てきました。経済的に何の問題も無いのに、娘が憎くて娘が望む大学受験を認めない母親がいました。この母親からすれば、娘が大学生になって、楽しそうに友人と話しながらキャンパスを歩いている姿を想像するだけで虫唾が走るのです。

“大学の入学金も授業料も払わない”という母親に対して、娘は一生懸命勉強して、奨学金をもらって大学へ入ることを考えました。すると母親は娘が通っていた塾の月謝を止めました。塾へ通えなくなった娘は、放課後に学校に残って先生に補習をしてもらったり、先輩に教わって勉強を続けました。するとついに母親は、娘が高校3年生になってから授業料を学校へ入れなくなりました。そして娘は授業料未納によって高校を退学させられてしまったのです。このケースも過去世からの因縁因果が絡んでいました。

 

娘さんは高校を退学した後、就職先も見つからず、家に居場所も無いために、追い払われるようにして家を出ました。そして泊まる場所も無かったために、年齢を偽って水商売の世界へ入りました。夜の世界では寮の完備しているクラブがあったので、まずは寝起きできる場所を確保しようとしたのです。そしてお店の寮に入って生活しながら、頑張って夜のお店で働きました。

 

真面目で素直な娘さんは、経営者や先輩ホステスの言うことをよく聞いて、どんどん仕事を覚えていきました。そして若くてかわいい娘さんはすぐにお店でも人気のホステスになりました。そして25歳のときに、当時彼女の勤める大きな繁華街の中で、最年少のママとなって独立しました。元々、頭の良い方でしたから、経営はすぐに軌道に乗りました。そしてお店の数も増えて、マスコミでも度々紹介されて、本まで出版するようになっています。今では成功者として取り上げられるようになりましたが、実はこんなに辛い過去を抱えていたのです。

 

確執というものは因縁が深くどこまでも執拗に付きまとってきます。特にお互いの関係が近ければ近いほど確執は強くなっていくのです。