言葉が自分に返ってくるなら、良い言葉を出していれば、言霊の力によって自分の人生は良くなることになります。たとえば自分の子供を大切に思わない親はいません。そんなときはそれを心の中で思うだけでなく、口に出して子供にちゃんと伝えると、言葉の力によって親子の信頼が強まります。幼少期にお母さんに抱きしめられて

「あなたはママの宝物、いつでもあなたの味方よ」

そう言われて育った子供は、お母さんを信じ、自分のことも信じ、嫌なことがあってもブレずに幸せに生きていくことができます。

 

親は何も知らない真っ白な子供に、社会を生きていくための常識やルールや礼儀を教えていかなければなりません。それをしないでただ、かわいがるだけで育てた子供は、社会に出た時に大きな苦労を背負うことになります。そのためには優しい言葉だけでなく厳しい言葉も時には言わなければなりません。それはもちろんそれで良いのです。

 

ただ、子供を叱った後には、またいつものように

「あなたはママの宝物、いつもあなたの味方よ」

と、この言葉を投げかけてください。子供は子供なりに、お母さんは自分を嫌いで叱ったのではなく、自分に良し悪しを教えるために叱ったことを理解するはずです。この言葉にはそんな魔法の力があるのです。

 

もし、あなたが子供の頃にお母さんからこんな言葉をかけられずに育ったとしても問題はありません。お母さんの代わりに自分が自分のことを宝物のように大切に扱ってあげることで、自分をもっと好きになることができます。幸せに生きるための第一歩はまずは自分を好きになることです。自分にとっての私は世界でただ一人だけのかけがいのない存在です。自分に優しくいたわりの気持ちを持って接することは自分を甘やかすこととは違います。自分を好きになることのできない人は他人を好きになることもできません。それではお互いに思いやりの気持ちを持ちながら良い関係を築くことはできません。いつもきれいな言葉や優しい言葉や感謝の言葉が口から出ている人は、その言葉の力によって自分の回りを常に幸せなエネルギーで満たすことができるのです。

 

そして心の中には常に“希望”を入れておくことも大切です。ベトナム戦争にアメリカ空軍のパイロットとして参加したジェームズ・ストックデールは、対空火器によって撃墜されて、パラシュートで脱出したものの捕虜として捉えられました。彼はアメリカ軍を憎む村人たちから暴行を受けて、関節は捻じ曲げられ、足は激しく打ち付けられてまともに立つこともできなくなり、背骨も骨折させられました。捕虜として捉えられた8年間はほぼ毎日のように拷問を受けて続けていました。それでも屈服せずにアメリカに帰国した彼は、生きて帰ってこれた理由について次のように述べています。

「捕虜となって死んだ者と生き残った者の差異は、楽観主義者かどうかによります。クリスマスまでには解放されるだろう、春になるころには出ることができるだろう、夏が終わるころまでにはこの場所を抜けるだろうと、希望と落胆を繰り返す人は、失望が重なって死んでゆくのです」

 

彼は自分が置かれている厳しい事実を直視しながらも心の中でいつも唱えていたのです。

「どのような困難にぶつかっても、最後には私は解放され、アメリカは勝つ」

と。そしてその確信を失わなかったことが、生きて国に帰れたことにつながっていると言うのです。希望はそれを信じる人を確実に強くします。そしてその未来を現実のものとしていくのです。