1972年2月から翌年の2月まで日本テレビ系列で1年間放送された青春ドラマが「飛び出せ!青春」です。新任の熱血教師、河野武役に村野武範さん、聡明なマドンナ教師、本倉明子役を酒井和歌子さんが演じて人気番組になりました。河野先生が赴任した太陽学園高校は、「来るものは拒まない」という校長の方針により、無試験で入学を認めていました。そのため全国から不良や劣等生が集まっていました。河野先生は着任早々にトラブルを起こしたために、教頭から疎んじられて、劣等生集団のサッカー部の部長を押し付けられました。それでも持ち前のチャレンジ精神を発揮して、本倉先生にも協力してもらいながら、サッカー部の部員とコミュニケーションを図っていきます。そして彼らを更生させて、立ち直らせていく青春ドラマです。このドラマで、河野先生が学生たちに向かって口癖のように言っていた言葉が、

“Let’s bigin!”だったのです。先生は学生たちに

「ともかく何かを始めよう!」

といつもはっぱをかけていました。私流の解釈をすれば、

“Just do it!”

思考ではなくて行動することによって良い未来を作っていこうと促していたのです。

 

なぜ、こんな古いドラマを思い出したのか。それはつい最近も、”Just do it!”と、回答した相談者がいたからです。その方は私から見れば、進む方向性は明確なのに、なかなか行動できないでいるうちに自分の進むべき方向を見失しない、迷路に入り込んでしまいました。この方には仕事にも人生にも明確な目標がありました。そしてその目標を現実化するための正しいプロセスもすでに作られていました。ならばその階段を上がっていけば、おのずと目標は現実化されます。そこには経済的な利益のみならず、生きがいややりがいや充実感や達成感も得ることもできたはずなのです。

 

しかしこの方は失敗を非常に恐れます。何かをすることはその反動として必ずリスクが伴います。ノーリスクでリターンだけを得ることはできません。そのため、自分の方法論が間違っていた場合に備えて、保険を二重に三重にもかけていきます。その結果、自分のかけた保険によってがんじがらめになってしまい、肝心の一歩が踏み出せなくなってしまったのです。行動が伴わない中で、未来が良くなることはありません。こうやって自ら逡巡しているうちに、肝心の目標や正しいプロセスまで見失ってしまったのです。

 

よく、「あなたは目先のことばかり考えているから失敗する」という人がいます。しかし、私が今までたくさんの人たちを見てきた印象では、「先のことばかり考えているから、目の前の一歩を踏み出せないケース」の方が圧倒的に多いように感じます。

 

歯車はそれを最初に回し始めるときにもっとも大きな力が必要になります。回り始めてしまえば、あとは最初の半分以下の力でも歯車は回り続けます。今は先の先まで見えていないことでも、いざ行動を開始したことで、おのずと問題解決へ向けて状況が改善されていくことも多くあります。迷っている時間はあなたの意欲を失わせて、不安を増大させます。

 

もし、始めて見て思い通りに物事が進まなくなったとすれば、その時になってから、心配しても後悔しても決して遅くはないのです。始める前に心配して不安になって一歩を踏み出さなければ、失敗する可能性もありませんが、成功する可能性もないのです。未来はいつも自分の思い通りに進むわけではありません。もし、予期していなかった壁にぶつかることがあれば、そのときにその状況を踏まえて対策を考えても、壁を乗り越えることはできるのです。今日はぐずぐずせずにやろうと思っていることを実行する日です。ともかく始めることがあなたの人生を良くしていきます。

“Just do it!”