人生では皮肉なことがしばしば起こります。赤い糸はいずれ必ず二人を出会わせて強く結びつけますが、問題は出会いの時期なのです。赤い糸でつながっている二人はお互いに人生を共に生きていくただ一人のパートナーです。しかし、出会いの時期が早すぎると、スムーズに恋愛から結婚へ進んでいくことができません。そういった現実的な壁を乗り越えることができずに、せっかく出会い、愛し合っても離れてしまうことがあります。人生で出会うはずのたった一人のパートナーとすれ違ってしまえば、その人に生涯の伴侶は二度と訪れません。また、出会いの時期が遅すぎても、辛い人生を生きていくことになります。

 

たとえば、先日私に相談した女性は、すでに4回も離婚をしていました。恋愛をしてその延長で結婚をして、しばらくは幸せに暮らしているのです。しかし、結婚生活が続いていく中で、毎回必ず予期しない問題が引き起こされてきました。1回目の離婚は夫の浮気が原因でした。2回目の離婚は夫がギャンブル依存症で莫大な借金が発覚しました。3回目の離婚では、義父母と同居しないことを条件に結婚しましたが、夫がマザコンで姑がしばしば夫婦の住まいに泊まりに来て関係が悪化しました。4回目の離婚では、夫が長年勤めた会社をリストラされてから仕事をしなくなり、一日中、家でお酒を飲むようになってしまいました。

 

この方は私に4回の離婚の話をした後、

「私には何か悪い霊とか憑いていないでしょうか?」

と尋ねてきたのです。4回の離婚の原因はすべて夫に問題があります。夫の問題は毎回異なりますが、それらの根っこは同じです。浮気もギャンブルもマザコンもお酒も、それらはその時の配偶者が本質的に持っていた弱点がたまたま顕在化されただけです。もし、別の男性と結婚したとしても、同じようにその方の弱点が現実化されて、離婚の理由になっているだけなのです。なぜ、このようなことを繰り返してしまうのか。私から見ると、そもそも生涯の伴侶となる相手と結婚していないからです。その結果、結婚しても必ず離婚する理由が作り出されてしまうのです。

 

この方には生涯の伴侶となるべき赤い糸で結ばれているパートナーがいました。しかし、その男性とは中学生のころに出会っていたのです。私は彼女に尋ねました。

「中学生のころに誰かお付き合いした方とか、大好きでいつも一緒に過ごした方はいませんでしたか?」

私の質問に彼女は懐かしそうに答えました。

「はい、お互いに大好きで、交換日記をしたり、休みの日はいつもデートしていた方がいました」

彼女によると、二人は子供なりに将来を真剣に考えていて、結婚の約束までしていたそうです。しかし、肉体関係を持ってしまったことが親に発覚して、心配した両家の親が二人を別れさせたのです。

「あなたの生涯の伴侶となる方はその人だったのです」

私の言葉を聞いて彼女は思わず涙を流しました。懐かしさや愛おしさや悔しさが一気にこみ上げてきたのでしょう。いくら赤い糸で結ばれていても、別れてから何十年も別々の道を歩んでしまった今、もう二人は一緒に生きていくことはできません。

 

このケースとは逆に赤い糸で結ばれた方との出会いが、60代になっていた方もいました。この方もそれまでにした恋愛や結婚はすべて別れることになりました。その結果、ずっと寂しさの中で人生を生きてきました。このように赤い糸で結ばれていても、出会いの時期が適齢期から外れてしまうと幸せな時間を過ごすことができないこともあるのです。