“今どきの若い者は”

これは昔からよく言いつくされてきたフレーズです。昔、私の世代にそう言ってきた上の世代の人たちも、自分が若いころにはさらに上の世代から、いつもそう言われてきたのでしょう。そして今、私の世代の人たちも若い世代にこの言葉を投げかけています。世の中は常に動いていますから、人の考え方や世の中の常識も変わっていきます。それは上の世代からすると、とても分かりにくく、人や時代の変化についていけなくなります。テクノロジーはもっと早く進化します。だからこの言葉が口をついて出てくるのでしょう。

 

私が若いころには、よく上の世代の人から“新人類”と言われました。

「今の若い人たちは新人類だから何を考えているのかわからない」

そんなことを言われているうちに、気が付けば自分たちが完全に“旧人類”になっていました。

 

この言葉は多くの場合、常識やルールを守らない若い世代を上の世代が否定的に捉えて言う言葉です。しかし、実態は、常識やルールを守らないお年寄りもたくさんいます。逆に若くても節度を持ってひたむきに頑張っている人も数多くいます。これは世代や年齢の問題ではなく、その人の性格や人間性の問題になります。

 

先日、私に相談したお母さんはコロナの影響で学校が休校になっていたため、お子さんの受験を心配していました。高校3年生の娘さんのいるお母さんからすれば、大学受験はもう半年後には始まります。勉強に追いついていけるのか、浪人生の方が有利になるのではないかと、娘の受験を案じていたのです。

 

実際、私が以前見たニュース番組では、高校3年生の女子生徒が、テレビカメラに向かって、

「学校が休校で私たちは高校3年の勉強ができていません。このまま来年の受験に臨めば、私たちは明らかに不利になります。新学期を半年遅らせて9月入学にするとか、何かの救済策を文科省には取ってもらいたいです。そうしなければ不公平です」

と主張していました。

 

私は相談してきたお母さんに尋ねました。

「学校が休校ということですが、お嬢さんは毎日、どのようにして過ごしていますか?」すると、お母さんは

「学校は休んでいますが、塾はリモート授業を行っています。ですからパソコンに向かって先生と双方向で授業を受けています。リモート授業が無い時にはテキストや問題集を自分で解いているようです」

と答えました。私は娘さんの状況を霊視した上でお母さんに答えました。

「まったく心配ありません。お嬢さんの気持ちが受験勉強に向いていることは明確に感じ取れます。それは行動にも表れています。学校へ通っていなくても、塾の先生とはリモート授業を通してコミュニケーションが取れています。ですから分からない単元があればその都度、質問して納得しています。これなら集中力を持って勉強を進めていけますから、学んだ内容は定着します」

 

受験へ向けて気持ちが入っていない生徒は、

学校が休校になる→授業が無くなる→時間ができる

そして友達と遊びに行ったり、ゲームや趣味の時間へ流されていきます。あとは勉強ができない理由を探して言い訳をします。

「学校が休みで授業が無いから」

「家に勉強部屋が無いから」

「塾に通わせてくれないから」

理由はいくらでも浮かんできます。自分に与えられた環境は人それぞれで異なります。ただ、本気で何かを成し遂げようと思うとき、それができる人はその目的へ向かって一目散に走りだします。周囲の環境を良くしようと考えている時間に、ゴールへ向かってまっしぐらに足を進めていくのです。(2)へ続く。