先日、理解できない体験をしたという方が私に相談してきました。この方はマンションに住んでいます。お部屋の専有面積はそれほど広くはありません。長く住んでいるうちに物が増えてしまい、リビングの床では両手両足を伸ばして“大の字”になるスペースも確保できない状態です。しかもリビングの中には大きな電気ストーブが置かれています。寒い時に暖を取るのに役立っていたこのストーブも今年の2月ごろに壊れてしまいました。壊れたあともそのままリビングに置かれたままで、今ではただ、部屋の中で場所を取る邪魔者になっています。

 

ゴールデンウィークに入り勤め先の会社が休みになりました。そこでこの方は部屋の掃除を始めました。大掃除をすれば大量のゴミが出ます。そのゴミは分別してマンションのゴミ置き場へ運びました。ただ、この電気ストーブだけがゴミ置き場へ持ち込めないゴミとしてリビングに残りました。

 

ストーブは粗大ごみの回収日に出さなければなりませんが、それまではまだ2週間もあります。掃除をして片付いた部屋の中に置かれた必要のない電気ストーブが、この方にとっては今まで以上に邪魔に思えてきました。そこでこの方は夜、自分の車にこのストーブを積んで不法投棄をすることにしたのです。

 

この方は夜11時を過ぎるのを待って、車を郊外へ走らせました。人通りのない郊外の道には、ストーブを投棄する場所はあふれています。そして自宅マンションから約1時間車を走らせた脇道の藪の中へ電気ストーブは投げ込まれました。そしてすぐにUターンをして急いで家へ戻りました。

 

邪魔者のいなくなったリビングはとてもスッキリとして爽快でした。この方はきれいに片づけられたリビングで、何事もなかったようにお酒を飲んで眠りました。

 

しかし、その翌日です。お昼前までぐっすりと眠り、軽く朝食を食べて、お昼過ぎに家を出ました。玄関のドアを開けた時にドアに何かが当たる音がしました。そこには昨夜、捨てたはずの電気ストーブが置かれていたのです。

 

この方は驚いて辺りを見回しました。“誰かに監視されているのではないか”そんな恐怖が一瞬、頭をよぎりました。しかし、視界の範囲に人影を見かけることはありませんでした。そこで部屋に戻って冷静に考えてみました。

 

夜中に人通りのない郊外の道をスピードを出して走ってきましたから、もし、誰かに尾行されていれば、ヘッドライトで気づくはずです。しかし、行きも帰りもそのような様子はまったくありませんでした。しかも、住まいのマンションはオートロックですから、誰かが不法投棄の現場を目撃して後を付けてきたとしても、エントランスのカギを開けて5階の自分の部屋の前まで入り込むことは不可能です。さらに、捨ててから約半日後にはストーブが置かれていたのですから、深夜に捨てた後、すぐにこのマンションまでやってきたことになります。どう考えてもあり得ないことなのです。

 

この件があってから、この方はいつも誰かに監視されているような疑念が頭から離れずに、精神的にかなり不安定な状態に追い込まれました。悪いことをした報いと言ってしまえば、それまでなのですが、こういった理解できない現象は、他にもいろいろと耳にしています。(2)へ続く。