先日、知り合いから家を買ったという人から、
「家の中にいるはずのない人がいる」
と相談を受けました。その家は木造平屋建ての一戸建て住宅です。家を売った知り合いは、年を取った父親と会社員の息子と二人でこの家に住んでいました。息子さんは転勤でこの家を離れることになり、お父さんも認知症の症状がしばしば出るようになったため、お父さんは老人介護施設に入居することになりました。そして住む必要のなくなったこの家を売ることにしたのです。
一方、家を買われた方は、学生と社会人に息子とその母親の3人でこの家に転居しました。買主の夫は最近亡くなっています。買主には死んだ夫が残してくれたお金や生命保険金が入りました。それまでは賃貸住宅に住んでいましたが、良く知っている家で、勤め先への通勤の便も良かったので、この機会に思い切ってこの家を買うことにしたのです。
家を買った女性は、介護施設に入った売主の父親とは昔からの知り合いです。元々はこの父親の奥さんと友達で、家族で仲良く付き合っていましたが、奥さんは病気で数年前に亡くなっていました。そのことで売主の父親はガックリとふさぎ込んでしまいました。認知症の症状も出てきましたから、売主の親子を心配して時々、食事を作りながら様子を見に来ていたのです。
“勝手知ったる他人の家”で、この家の様子は良く分かっていました。しかし、今まで何度、この家を訪れてもおかしな現象に出くわすことは一度もありませんでした。しかし、この家を買って、この家に住むようになってから、人の気配を感じたり、ラップ音や廊下を人が歩く時の“ミシッ”という音がしばしば聞こえてくるのです。それはこの女性だけでなく、二人の息子も何度も聞いています。
時には廊下に靄(もや)のような黒い霧が立ち込めていたり、人の影が廊下を通り過ぎていくこともありました。この女性は玄関横の部屋を自分の寝室にしていました。人影や物音は玄関から寝室前の廊下を通って1階の一番奥の部屋へ向かって進んでいくのです。この部屋は今は客間になっていて、二人の息子たちも使っていません。誰もいない部屋なのです。しかし、この部屋でごそごそという物をあさる音や物の落ちる音を3人の家族がそれぞれ聞いているのです。
私はこの家に入ってからずっと何か霊的なものの気配を感じていました。しかし、この家の敷地にも家の中にも特に霊的な問題は感じません。特に霊的に障りのある土地でも家でもありません。もっと言えば、何か霊(=死霊)が入り込んでいる感じもしないのです。霊道も通っていません。
そこで何かこの家の人間に生霊が飛ばされているのではないかと考えました。しかし、この家に住む3人とも強い念を受けている感じもしないのです。生霊が飛ばされているときは、それを受けている人から強いネガティブな念(嫉妬や憎悪など)を感じますのですぐにわかります。しかしそれもありません。私は家の中の各部屋を見て回りましたが、皆さんが音や気配を感じる一番奥の部屋に入り、その理由が分かりました。(2)へ続く。