先日、たまたまアインシュタインの本を読んでいたところ、今の私たちにも役に立つ素晴らしい言葉を見つけました。アインシュタインが日常生活の中で注意していたことは次の3点です。

1:散らかった乱雑さの中にシンプルなものをみつけること。

2:不一致や不和の中に調和をみつけること。

3:困難の中にあってもチャンスをさがすこと。

アインシュタインはまさにこの思考によって、1905年に特殊相対性理論を見出して、その10年後に一般相対性理論を発表したのです。

 

確かに私たちを悩ます諸問題は、その原因が一つであることは珍しく、いくつかの原因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。たとえばご主人の浮気によって離婚の危機を迎えている夫婦がいます。夫婦関係が悪くなった原因は一見すると「夫の浮気」になります。ただ、どうして夫が浮気をしたのか、その原因を突き詰めていくと、そこにはさまざまな理由が浮かび上がってきます。そういった場合に表面的に見えている原因だけを取り上げて、そこに責任を持って行っても本質的な問題解決にはなりません。複雑に絡み合ったたくさんの糸を1本ずつ丁寧にほぐしていった時に、最後にシンプルな結論が見えてくるのです。

 

そして困難な状況に陥った時に、それをチャンスだととらえて、もう一度、自分の周りを見回してみると、そこにはピンチをチャンスに変えるヒントがたくさん埋まっていることに気づきます。

 

あとは虚心坦懐わだかまりや先入観を持たずに物事を見つめることです。たとえばコロナが世界中に蔓延した今の状況は、真っ黒なサングラスをかけて世界を眺めているようなものです。感染防止のために他人との接触を避けることは、そのまま孤立化につながっていきます。お店が閉まり、町から人がいなくなり、家にこもって過ごす中で、未来に明るい希望を持つことは難しいかもしれません。経済は停滞して仕事を失う人もたくさん出てきます。そんな重苦しい空気の中でも、すでにその先を見つめて歩み始めている人はいます。

 

コロナはいつか必ず収束します。14世紀に何度も世界的大流行をした“ペスト”は、当時、世界の人口4億5千万人のうち、22%にあたる1億人が死亡しました。しかも感染者の致死率は30%~60%もありましたから、ヨーロッパを中心に世界中の人を恐怖に陥れました。それでもペストは収束したのです。現代のような高度な医療体制がない中でも終わりを迎えたのです。1918年~1920年に世界中で大流行した“スペイン風邪”も死者は1700万人~5000万人と言われています。これも2年で収束しました。同じくインフルエンザの感染による“ソ連風邪”や“香港風邪”も人類は克服してきました。ですからコロナだって必ず収束させることはできます。

 

先日、私に相談された会社の経営者は、飲食店を何店舗も経営しています。その方の会社では毎月2千万円以上あった売り上げが、今ではほぼゼロになったと言います。そんな彼が私に開口一番尋ねたのは、

「シュンさん、コロナが落ち着いたあとは、どんな分野が伸びていきますかね?」

というものです。私はてっきり、

「今の最悪な経営状況を乗り切るためには、どうしたらよいのでしょうか?」

と尋ねられると思っていました。しかし、今何をやるべきなのか。それはこの方の中ではすでに答えが出ているのです。結論から言えば、

「今の自分にできる精一杯のことをやること」

です。これは私が何度もブログでも書いてきたことです。売り上げが激減した会社を維持するためには、固定費を削減するとか、少しでも売り上げを上げる方法を考えるとか、資金繰りに走るとか、やるべきことはたくさんあります。しかし、いろいろな思いが頭を巡って混乱したり、不安や迷いで一歩が踏み出せない時こそ、原点に返ってシンプルに考え直してください。今はビジネスで大きく花開く時期ではありません。コロナによって経済が大きく停滞している今は、世の中全体にお金が回っていないのです。ただ、こんなときだからこそ、じっくりと力を蓄えて、流れが変わった時に一気に飛躍できるように準備を進めることが必要なのです。