先日、私に相談した女性は人間関係で悩んでいました。彼女は社会人になってからこれまでに何度も職を替えています。その理由はすべて職場での人間関係が上手くいかなくなったためです。ある時、私は会社の人間関係で悩んでいる彼女から、職場の人間の画像を送信してもらいました。それを見ると確かに彼女の霊的な波長とは離れた方々が多く、これでは職場で孤立するのも致し方ないと感じました。ただ、その中に2人だけ彼女と比較的波長の近い同僚を見つけました。そこで私は、
「この二人の方とも関係は良くないのですか?私から見ると、この方たちとは上手くやっていけるように思えるのですが」
と話しました。すると彼女は、
「確かにこの二人とは、一緒にお昼ご飯を食べたり、会社が終わってからお酒を飲みに行ったこともあります。以前は仲が良かったのですが、今では完全に私を避けていて、ほとんど口もききません」
と答えました。さらに彼女は
「私は何も記憶にないのですが、気づかないうちに私が二人を怒らせるようなことをやってしまったのでしょうか?」
と尋ねてきました。
結論から言えばその通りなのです。確かに相談者の女性は、同僚の女性を怒らせるような言動をとっていました。それがこの二人と関係を悪くした直接の理由なのです。ただ、彼女のそういった言動の根底には、彼女の悪意ではなく感性の問題があります。わかりやすく言えば、感じ方の問題なのです。
人は誰でも二面性をはるかに超えた“多面性”を持っています。いろいろな面を持っている相手が、自分に対してどのような面を見せて接してくるのか、それを決めているのは、実は相手ではなくて自分なのです。
たとえば、いつも横柄で部下を怒鳴り散らしている課長がいます。部下から嫌われている自分本位な課長でも、その行動をよく観察すると、決して誰にでも感情のままに怒鳴っているわけではありません。いつもよりも言い方がソフトだったり、優しく丁寧に指導する人もいるのです。それではいったい何が課長の行動を変えているのでしょうか。たまたまその時、課長の機嫌が良かったのでしょうか。或いは相手の部下が体格が大きくて強面だからでしょうか。それともとても美人で魅力的だからでしょうか。もちろん、そういったこともありますし、相性の良し悪しもあります。しかし、それとは別にこちらが多面性のある相手のどの面を出させるのか、知らず知らずのうちにそのスイッチを押していることが多くあるのです。
感性の鋭い人は、無意識のうちに相手の良いスイッチを押しています。逆に感性の鈍い人は、何気なく地雷のボタンを押しているのです。私に相談した女性は、この感性が元々鋭くありません。さらに自分がそのスイッチを押しているという認識もありません。ですから地雷原の中を歩くとき、多くの人は慎重に足元を確認しながら歩みを進めるのに、この方はまるでスキップでもするように無頓着に進んでいきます。そして当たり前のように地雷を踏んで人間関係を壊しているのです。
ですからこの方の人間関係の悩みは、職場に限ったことではありません。家族との関係もうまくいきませんし、恋人や友人と付き合っても長続きはしないのです。この方はあまりにも上手くいかない人間関係について、何か霊的な問題があるのではないかと心配して私に相談してきました。しかし、私から見ると、まったく霊の影響ではなく、すべては自らが招いていたことなのです。(2)へ続く。