先日の夜、久しぶりに時間ができましたので学生時代の友人たちと会ってお酒を酌み交わしました。もう、何十年も付き合っている仲間ですから気の置けないメンバーです。お酒が進むにつれて話も弾みました。最初は自分たちの仕事のことや体調のことなどを話しました。ただ、一通り、みんなが話終えると、話題は政治や外交問題へ移りました。

 

まず、友人の一人が、韓国の文在寅大統領の政策について批判を始めました。2015年12月28日に従軍慰安婦の問題を解決するために日韓両国で「和解・癒し財団」を作ることで合意しました。日本は10億円を拠出して、韓国の元従軍慰安婦に、この基金の中から謝罪のお金を支払うというものです。また、そのことによって従軍慰安婦の問題は最終的に解決したことを両国政府が宣言したのです。しかし、当時の朴槿恵大統領が弾劾されて、文在寅政権が誕生すると、韓国は一方的にこの合意を反故にしてきました。問題を蒸し返して「和解・癒し財団」を解散してしまったのです。さらに太平洋戦争中の戦後賠償については、1965年に日韓両国で締結された「日韓請求権協定」で、日本政府が韓国政府に無償3億ドル、有償2億ドルを支払うことで最終的にこの問題は解決されたとされました。しかし、文大統領はこの問題も個人の請求権は消滅していないと主張してきました。そして韓国の最高裁は、当時韓国人徴用工を雇っていた日本企業に賠償金を支払うように命じたのです。友人は国際間の条約を無視した文大統領の反日姿勢は許せない。日本は韓国政府の理不尽な姿勢をもっと国際社会へ訴えていくべきだと熱く語ったのです。

 

そして話題はロシアのプーチン大統領に移ります。北海道の北にある北方領土は元々日本のものでした。ロシアは太平洋戦争で日本は負けたのだから、その結果、領土を失うことになったことを認めるように主張しています。そして今も実効支配しています。しかし、太平洋戦争開戦に当たり、日本と当時のソ連は「日ソ不可侵条約」を結びました。これはお互いに相手国へ侵攻しないという約束です。しかも、ソ連軍が北方領土を占領したのは、日本がポツダム宣言を受諾して戦闘行為を中止した8月15日を過ぎた8月28日から9月5日にかけて一方的に侵攻してきたのです。つまり、戦争(=ソ連との戦闘行為)で負けたから北方領土が占拠されたというロシアの主張は、間違っていると友人は吠えました。それから話題は、1952年に韓国の李承晩大統領が一方的に竹島は韓国領土だと宣言して武力によって不法占拠を続けている竹島問題や中国の習近平主席の反日姿勢の批判に変わりました。北朝鮮の金正恩体制についても語りました。

 

私や他の友人たちは、初めのうちは彼の主張に耳を傾けていました。彼の主張には納得できるからです。しかし、如何に整合性のある主張でもそれが1時間を過ぎてくると私も他の友人たちもかなり辟易してきました。なぜなら彼が怒りを持って熱く語る話は、私たちには直接関わりのない問題だからです。しかも、友人は熱く語りながら気持ちを良くしているわけではないのです。約束を反故にしたり理不尽にふるまい、それを正当化する諸外国に対して本気で怒っているのです。つまり、彼自身、自分の意識を悪くしているのです。

 

私には彼の言動は非常に不可解でした。文在寅さんもプーチンさんも習近平さんも金正恩さんも彼の心身に直接危害を加えたり、生活を脅かしているわけではありません。大きな意味では国と国とのかかわりは国民の生活にかかわってくる大問題です。それは分かりますが、今の自分に直接かかわりのない問題に腹を立てて意識を悪くすることは、自分の未来を悪くすることになるのです。国を憂う気持ちは分かりますが、そのことによって自分の未来を悪くしてしまっては本末転倒です。

 

私がたくさんの人を見てきた中で、幸せに生きている人たちは、常にプラス志向であり、感謝の気持ちを持っていて、物事に楽観的で、良い意味で自分中心に物事を考えます。無意識のうちに自分に直接関係しない問題にはきれいに切り捨てて、決して巻き込まれないのです。彼は若いころから物事に批判的で、人に対して攻撃的でした。そして彼の人生では常に争いごとがつきまとってきました。これはもちろん、彼の意識が作り出した現実です。いつも申し上げている通り、自分の意識は自分の未来を作り出す大きな力を持っているのです。