この女性が、最初は人間関係で悩んだり、タイミングがずれてきた状態から、やがてはショートカットの女性がしばしば現れてきたのは、彼女の霊的な間口が広くなってきたからです。人はそれぞれが自分独自の霊的な波長を持っています。その波長の周囲には枠があって、この枠は大きな人と小さな人がいます。枠が大きければ自分の波長から離れた波長のものともつながることができます。ですから霊体験をする確率は高くなります。よく“私は霊感が鋭い”という人は、霊感という感度が鋭いというよりも、正確に言うと、霊的な間口が広い人のことを言います。逆に枠が狭ければ、自分の波長に近い波長のものとしかつながることができません。ですから霊体験をする確率は下がります。そしてこの枠は、霊体験をするたびに広くなっていきます。
この女性のようにしばしば霊体験をしていれば、おのずと枠は広がっていきます。間口が広くなれば、さまざまなものとつながれるようになりますし、つながり方も今までより深くなっていくのです。その結果、今まで見えなかったものが見えるようになったり、あまり感じられなかったものを強く感じ取るようになります。そのようにしてこの女性はショートカットの小柄な女性が見えるようになっていったのです。
私がこの女性から相談を受けたときは、何か霊(死霊)が憑いているのではないかと思いました。ずっとこの女性に付きまとっていますから、何か不浄霊が憑依しているのではないかと、普通はそう考えます。しかし、この女性から今、撮影してもらった画像を確認すると、不浄霊は彼女には1体も憑いてはいませんでした。したがって私は、何かあると感じながらも
「現時点で祓わなければいけないような不浄霊の憑依は受けていません」
と答えました。
彼女は少し安心しながらも腑に落ちない様子でした。しかし、それから1週間もしないうちにまた、この女性から連絡が入りました。
「昨日、家にいるときにドレッサーに映った自分の顔が、一瞬変形してまたいつものショートカットの女性の顔に変りました」
そう伝えてきたのです。
私はここにきてようやく状況を飲み込みました。霊の憑依を受けていないのに、しばしば付きまとってくる同じ女性がいるのです。これは“生霊”の仕業です。このショートカットの女性は今でもどこかに生きていて一見普通の生活をしています。この女性が殺したいほど、相談者を憎んだ結果、生霊として肉体を抜けて、彼女に付きまとっていたのです。
私はこのことを相談者へ伝えました。彼女は驚きながらも、
「そこまで恨まれるようなことをしたことは一度もありません」
と訴えました。私は彼女に説明しました。
「生霊はあなたがひどいことをしたかどうかにかかわらず、相手の一方的な思い込みによって飛ばされるのです」
私の言葉を聞いた彼女はこの女性を見つけ出して、なぜこのようなことをするのか問い詰めると言いました。私は
「お気持ちは分かりますが、それは無意味です。なぜなら生霊は強い憎しみや怒りなどのネガティブな思いがあるから飛んできます。しかし、生霊が出るときに脳の波長はα波です。リラックスしている状態の脳波がα波です。つまり、この矛盾した状態にあるということは、この女性があなたに何かの恨みを持っていても、生霊を意図して飛ばしているわけではないのです。自分自身、気づかないうちに生霊は飛んできています。ですから本人を見つけてどれだけ責めても、本人は知らないと答えるでしょうし、そのことによって生霊を止めることもできないのです」
そう話したのです。(3)へ続く。