2000年の秋ごろに岐阜県富加町(とみかちょう)の4階建ての町営マンションで、ポルターガイスト現象と呼ばれる強い霊現象が起きていることがマスコミで話題になりました。このマンションは1998年に建てられた24世帯が入居する白い外壁の一般的なマンションです。

 

このマンションでは新築で入居した当初から、壁の中から音がするというクレームが各部屋から寄せられていました。それが次第にエスカレートしていき、壁に刺した画鋲が抜けて弾け飛ぶとか、ガスコンロの火が勝手に付くとか、深夜にスリッパをはいている足音が鳴り響く。さらにコンセントに差していないドライヤーが勝手に作動するとか、テレビのチャンネルが変ってしまうとか、食器棚の中の食器が飛び出してくるなど、強烈な霊現象が起こっていました。

 

不安を感じた住民が、町役場へマンションのお祓いをするように依頼したものの政教分離を理由に断れました。住民たちは仕方なくお金を出し合って自腹でマンションの祈祷を神主に頼みました。それでも解決できずに、霊能者の織田無道さんや江原啓之さんまで訪れたものの、結局、原因不明のまま何ら解決に至りませんでした。この怪奇現象は2002年ぐらいになってようやく自然に収まりました。今でもこのマンションはこの地にあって入居者の募集もしています。

 

私はこの話を聞いたときに、すぐに古い時代の武士の姿が頭に浮かびました。それも戦に破れて敗走している落ち武者の姿です。この場所で大きな合戦が行われていなくても、敗走中に敵に見つかって首を落とされたり、落ち武者狩りに遭って殺された者たちの無念は、倒れたその場所にしみ込みます。それは100年、200年と時間が過ぎても消えないことがあります。

 

戦国時代、岐阜県(美濃の国)を治めていたのは斎藤道三です。斎藤道三は1556年に、長男の義龍との戦に破れ(長良川の戦い)、首を斬り落とされたあと、鼻をそぎ落とされたと言われています。(この順番は逆の可能性もあります)この頃は美濃の隣の尾張(愛知県)には織田信長やその父、織田信秀がいて、織田方は何度も美濃へ攻め込んでいます。(加納口の戦いなど)したがって数千人が討ち死にするような大きな合戦場や小競り合いのあった小さな戦場などが各地に点在しています。私は富加町のマンションで起きたポルターガイスト現象はこの頃の因縁因果に起因してると感じています。

 

同じように私が訪れたこの家の霊現象も戦国時代の戦に関係していると感じました。その理由は家の場所が有名な合戦場の近くである事。そしてこの方の家だけでなく、近隣周辺も血なまぐさい重たい空気に包まれていたこと。そして何よりも、この家の裏山にあり得ないものを見てしまったからです。

 

それは緑の木々の中に土砂が崩れた土色で描かれていました。この方によるとちょうどラップ音が鳴り始めたころに、台風による大雨で裏山の一部で崖崩れが起こりました。土砂は家の手前で止まりましたので、大きな被害はありませんでした。ただ、緑色の木々の中に浮かび上がった土砂のあとは、明らかにある戦国大名の家紋の形をしていたのです。

 

私はこの土地に残っている不浄霊を祓い、大型のカミナリ水晶を8本埋め込んでこの家の敷地に結界を張りました。さらに家の中にも2重に結界を張りました。これで近隣の土地に棲んでいる不浄霊もこの家には入り込めません。

 

そして家に帰りウィキペディアでこの家の近くで起きた大きな合戦について調べました。その結果、私が感じた通り、この戦に参加した戦国大名の中に裏山の土砂崩れに見つけた家紋の家がありました。この大名はこの合戦に敗れたあと、討ち死にした男だけでなく、一族の女子供、そして幼児までもこの地で処刑されて、見せしめのためにその首が晒されていました。この無表情の女も自分の命だけでなく我が子の命もこの戦によって奪われていたのでしょう。その無念さは察してあまりあります。私はこの状況を知った後、改めてこの一族の者たちの供養のために手を合わせて祈りました。その後、この家で起きていた霊現象はピタリと止まったそうです。