前回のブログで書いた不浄霊は、相談者に近寄ってくる様子が画像に捕らえられたものでした。しかし、心霊画像の中にはこれとは違った形で変化している物もあります。
私が以前、受け取った心霊写真の中には、やはりその場にいるはずのない男性が写っていました。かなりはっきりと写っていて一見すると実在の人物と同じように見えます。数人で一緒に写した写真ですが、その人はグループの誰も見たことのない人物で、その場にもいなかったのです。そこで気持ち悪く思った相談者が、この写真の鑑定を私に依頼して処分してほしいと言ってきたのです。
写真に写り込んでいたのは、写真を撮った場所の近くで亡くなられた人でした。金銭トラブルから殺されて、山中の谷底に捨てられた後、誰にも発見されないまま、木々や土が堆積してご遺体を覆ってしまっています。山にトレッキングに来たにぎやかなグループを見て、自分に気付いてほしいという思いや寂しさからグループ写真に紛れ込んだのでした。私は鑑定結果をメールでお伝えした後、すぐに写真を処分せずに、しばらくの間、手元に置いておきました。
それには3つの理由があります。1つは写り込んだ霊体がまだ成仏せずに現世に留まっていること。2つ目は、ご遺体が放置されている場所は写真を写した現場の近くですから、もし、場所を特定できるなら時間のある時に現場を探して、救いだしてあげようと思ったこと。さらに3つ目は成仏できていない霊体が写り込んだ場合、写真が変化していくことがあるのでそれを確認しようと思ったのです。
私は依頼者から特に頼まれたわけではありませんが、写真をポケットに入れて撮影地点の近くへ探しに行きました。誰も人の来ない山中に放置されてしまったまま成仏できないでいることはご本人にとっても無念だと思います。私は写真からこの人の霊的な波長を感じ取り、山の中を探しました。
撮影地点の近くだと言っても、ご遺体のある場所は、コースから外れた道のない山中です。普通に歩くだけでも体力を消耗します。ただ、何度も確認した写真の中の男性の表情は、捜索を続けるうちに見る見る変わってきたのです。最初は物悲し気にうつむいていた表情に、明らかに生気が宿ってきました。それとともに「ここだ、助けてくれ」と叫ぶ男の声が、私の頭の中で何度もこだまするようになりました。
この日、私が波長を辿っていくと、高い崖の上に着きました。崖下までは20メートルはあります。私は亡くなられた方が通った道筋をそのまま辿っていきますので、もし、崖の上から崖下へ落とされていれば、まずは崖の上に来ることになります。この崖を下りれば、かなり埋まっている場所に近づけますが、この急な崖はとても歩いて下りられるものではありませんでした。
この日の捜索はここで断念して、一旦、帰宅して地図やナビなどで、崖下へ降りるルートを探しました。そしてまた仕事の空き時間を作ってこの男性を捜索することにしました。その間、この方が写った写真は家のデスクに入れていました。しかし、画像を見るたびにこの男性の表情ははっきりと変化していたのです。
写真に写った顔ですから、理屈で考えれば変化するわけはありません。しかし、無念の表情になったり、怒りを全面にだしたり、悲し気に泣き顔になったりするのです。こういった場合、警察に連絡しても取り合ってもらうことはできません。それは消防も同じです。せめて行方不明者の氏名が分かり、捜索願が出ていれば捜索に協力してくれることもあります。しかし、氏名も分からず、犯罪の証拠もなく、ご遺体も発見できない中では、警察に連絡いたところで単なる作り話と思われても仕方がないのです。(2)へ続く。
