私は人生で今までに2回入院したことがあります。どちらもそれほど長い期間ではありませんでした。それでも入院中におかしな出来事には何度も遭遇しました。以前、このブログで、私が眠れなくて夜に病室を抜け出して、エントランスにある自動販売機で飲み物を買おうとしたときに、4階の病室からエントランスのある1階のボタンを押しているのに、エレベーターが勝手に7階まで上がったことを書きました。その瞬間、いきなり心拍数が上がり、鳥肌が立ちました。私はすぐにこれは何か霊的なものが影響していると感じて、エレベーターの中で、奥の壁に張り付いて身構えました。

 

夜もかなり遅い時間で誰かが7階でエレベーターを呼んだとも思えません。しかも、4階にいる私が先に1階のボタンを押しているので普通は、エレベーターが7階へ向かうことはありません。7階の診療科目を見ると「脳神経外科」と書いてありました。エレベーターはどんどん上昇して、7階に着くと音をたてて止まり、ドアがゆっくりと開きました。いったい誰が入って来るのか。私はドアからできるだけ離れて立って開いたドアの先を凝視しました。

 

するを頭を包帯でぐるぐる巻きにした女性が、まったく無表情でこちらに一瞥をくれることもなく、歩行器を押しながらドアの開いたエレベーターの前をゆっくりと通り過ぎていきました。死霊ではなく生きている人間でした。ただ、死霊に引き寄せられていることは明確でした。私はこの女性が通り過ぎると慌てて1階のボタンを何度も押しました。エレベーターは何事もなかったようにドアを閉めると1階へ降りていきました。

 

今回この話を思い出したのは、先日お会いした方と病院の不浄霊について話をしている時に、その人から同じような体験を聞いたからです。その人は私と違って1年近くも病院に入院していたと言います。しかもその間にエレベーターの誤作動は何度もありました。入院患者や看護師も気持ち悪がるので、何度も業者を呼んでエレベーターの点検修理をしているのです。それでも一向に改善されることはなく、エレベーターの誤作動は続いて、必ず特定の2つの階で止まってしまうというのです。一つは手術室のあるその病院の5階と、もう一つは霊安室のある地下1階です。

 

また、エレベーターの誤作動があるとその前後に必ず亡くなる方が出たというのです。ですから誰かがエレベーターがまたおかしな動きをしたと話すと、入院患者の間では一気に暗く沈んだ空気になりました。長期の入院患者は院内の状況に精通していますから、次は誰が亡くなるのか、言葉には出さなくてもおおよその見当はついたと言います。該当者がいないときは、しばらくすると救急車のサイレンが響き、必ず急患が運び込まれます。そして患者は一度、5階へ運ばれた後、やがて地下1階へ向かうことになるのです。

 

霊的な視点で見れば、ある意味、これは当たり前のことになります。亡くなった方は自分の思いの残る場所や人を死んだ後の旅の中で必ず辿ります。小学校や中学校の頃の出来事が強く記憶に残っていればその場所を巡ることになります。ただ、死に際して、古い記憶よりも新しい記憶の方が強く残ります。死の直前に見た景色は最も強く心に焼き付いています。つまり、亡くなって肉体を失った魂は、自分の肉体が置かれた霊安室や生きていた最後の場所となった手術室に何度も向かうことになるのです。そして霊の波長は電気の波動に近いので、そのたびにエレベーターを誤作動させて霊安室や手術室へ引き寄せているのです。